マーク・スピンデル氏のようなマクロ戦略運用者から見て、金融市場はもはや合理的でない。

  30年にわたり、景気動向や為替相場の動き、政治と政策などに注目して投資してきたが、このところは低ボラティリティーやアルゴリズムなどが形作る相場に当惑するばかりだ。同氏はとうとうさじを投げて、9年前に設立したヘッジファンドを閉鎖した。

Mark Spindel
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Source: Mark Spindel

  ポトマック・リバー・キャピタル(ワシントン)創業者のスピンデル氏(51)は「政治と経済の混乱がますます強まるこの時期に市場についていく緊張が厳しく感じられた。私のキャリアは常に金融政策・政治の理解を中心に回ってきた。考え方を変えるのは難しく、疲れた」と語った。

  現在はマクロ運用者から見て厳しく苦しい時代だ。カリスマ投資家ジョージ・ソロス氏の子孫とも呼ぶべきマクロ運用者たちだが、今年これまではほとんど利益を出せず、手数料の安い指数連動ファンドとの比較で色あせる。マクロ受難の時代だ。

  マクロ運用者は自問する。中央銀行の政策措置とアルゴリズムの時代に、伝統的なヘッジファンドの運用スタイルであるマクロ戦略がかつてのように通用するのだろうか。

  古き良き時代の運用者らは、今よりも不透明で非効率な市場で情報が一部の人にしか届かないという環境の中で大きな利益を上げた。価格トレンドはつかみやすく、レバレッジは大きく、競争相手も少なかった。今はテクノロジーが素早く広範に情報をまき散らし、アルゴリズムが一瞬のうちに価格の異常をとらえる。中銀政策も逆風だ。世界中が低金利となり国・地域間の格差から利益を得るのが難しくなった。

  ヘッジファンド・リサーチのデータによると、今年上半期のマクロファンドの平均リターンは1%に満たず、過去5年間で見てもほとんど稼げていない。一方、ヘッジファンド業界全体では今年上期のリターンが2.6%、過去5年間では年1.9%に上る。

  スピンデル氏は先月ニューヨークを訪れた際に、経済予測が当たったにもかかわらず市場反応についての予想が外れたことがあったと語った。予想外の経済指標と債券利回りの相関が薄れたことをチャートで指摘し、「市場は経済と政治からますます乖離(かいり)してきた」と述べた。規制対応の費用や厳しい価格競争に直面したことなどもあり、同氏は昨年1-9月の成績がマイナス12%になった後、顧客資金を返還した。

  今は自身の資産を運用する同氏はよく、ワシントンのポトマック川で一人乗りのボートを漕ぐ。以前は8人で漕ぐボートに乗っていた。いつかまた顧客資産を運用したいという同氏は「また8人漕ぎに戻れたら楽しい」と語った。

  ブルームバーグが集計したマクロファンドの成績のサンプル

Manager

Fund

% YTD Return* 

Paul BrewerRubicon Global Fund-27
Robert Citrone Discovery Global Opportunity Fund-11
Andrew LawCaxton Global Investments-10.4
Danny YongDymon Asia Macro Fund-8.2
Alan HowardBrevan Howard Fund-5.2
Jens-Peter Stein and Kornelius KlobucarStone Milliner-3.4
Louis Moore BaconMoore Global Investment Fund-2** 
Paul Tudor JonesBVI Global-2.5
Ben MelkmanLight Sky Macroflat^
Jeff TalpinsElementflat
Adam LevinsonGraticule Asia Macro Fund+3.9
Citadel teamGlobal Fixed Income Fund+9.7
Robert GibbinsAutonomy Global Macro Fund+12
Neil Phillips and Jonathan FaymanGlen Point Global Macro Fund+17
Chris RokosRokos Capital-4.1***

出所:投資家、ブルームバーグ
*6月30日まで
**同22日まで
***5月31日まで
^3月の運用開始以来

原題:For Macro Managers, Micro Returns Cast Pall Over One-Time Stars(抜粋)

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