米失業率はここ数年、低下傾向にあるが、連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は緩やかな引き締めペースを維持している。同議長は、労働市場に引き戻すことができる潜在的な労働者がまだ何百万人もいるとの強力なメッセージによって、こうした政策運営姿勢を正当化してきた。

  そして、労働市場からの最新ニュースは、イエレン議長が正しいことを証明している。

  6月の米雇用統計を受け、金融当局は年内にもう一回利上げするとともに、4兆5000億ドル(約514兆円)に上るバランスシートの縮小に着手する軌道に引き続きあるといえそうだ。さらに、一部の批判者や金融当局の同僚が好むよりも低めに金利を維持するイエレン議長の決定が、グレートリセッションの痛手の一部を癒やすのに寄与したことも統計の内容は示唆している。

  イエレン議長の狙いは、労働力から抜け落ちてしまった米国人が再び雇用されるのを支援するような持続的な景気回復を促進することにある。これは一つの賭けともいえる。労働者が戻らなければ、こうした戦略は労働市場の過度の逼迫(ひっぱく)を招き、賃金とインフレの行き過ぎた急上昇につながるためだ。その場合、金融当局は一段と積極的な利上げを強いられ、回復を危険にさらすことになる。

  だが、労働者は戻ってきた。そうした人々の流れは6月に470万人と、1990年以降で過去最高水準に達した。長期にわたり低下してきた労働参加率は安定化し、就業者の割合は緩やかに増え続けている。ずっと隠されてきた労働市場のスラック(たるみ)が吸収されることで、賃金の伸びは小幅に保たれ、インフレは抑制されている可能性がある。

  労働力の圏外にあった人々が大勢復帰したことがスラックの減少を証明していると、ジェフリーズのシニアエコノミスト、トマス・サイモンズ氏は指摘。「米金融当局にとってこれはとても心強い兆しであり、正常化プランを続けるという話の展開に合致する」と語った。

  力強い雇用がやがて賃金上昇と物価圧力の高まりにつながると論じてきたイエレン議長は、今週の議会証言で労働市場を巡る自身の見解をさらに説明することができる。同議長は12日に下院金融委員会、13日には上院銀行委員会の公聴会に臨む。

原題:Yellen Bet on Pulling Workers Back to Labor Force Is Paying Off(抜粋)

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