安倍晋三内閣の支持率が下落を続けている。報道各社の世論調査では、2012年12月の第2次政権発足後の最低を更新した。政権運営は正念場を迎えており、来月早々にも行う内閣改造、自民党役員人事で立て直しを図る。 

  自民党が過去最低の23議席にとどまった2日の東京都議選後の内閣支持率は、NNN31.9%、朝日新聞33%、読売新聞36%といずれも下落。読売の調査では不支持率が52%と半数を超えた。読売は10日付朝刊で性別や年代を問わず、有権者の「安倍離れ」が広がっている実態が浮き彫りになったと分析している。

  日本のメディアは内閣支持率が30%を切った場合、政権運営が困難な「危険水域」に入ったとみなす。第1次安倍政権は、07年8月にNHKの調査による支持率が29%まで落ち込み、首相本人の体調悪化もあり9月に退陣した。一方、08年9月に発足した麻生太郎政権は、翌年2月には支持率が18%まで落ち込んだものの、同年8月の衆院選で敗北するまで政権を維持した。

  菅義偉官房長官は10日午前の記者会見で、内閣支持率の下落について「国民の総意として真摯(しんし)に受け止めたい」と語った。

  共同通信によると、安倍首相は9日、スウェーデンの首都ストックホルムで内閣改造・自民党役員人事に関し、骨格をころころ替えるべきでないと述べ、麻生副総理兼財務相や菅官房長官を留任させる方針を表明した。来月早々に人心を一新するとも述べた。

  衆参両院は10日、前川喜平前文部科学事務次官を招致して内閣支持率低下の一因になった加計学園の獣医学部新設問題に関する閉会中審査を行ったが、外遊中の安倍首相は出席しなかった。

  自民党では有志が「財政・金融・社会保障制度に関する勉強会」を結成している。野田毅前党税制調査会長、村上誠一郎元行政改革担当相ら安倍首相と距離を置くベテラン議員が中心になっており、6月に開いた第2回会合には石破茂元幹事長も参加した。

「信頼回復は不可能」

  村上元行政改革担当相は7日のインタビューで都議選の敗因は「はっきり言って安倍総理、その人の責任だ」と明言。「安倍内閣、安倍政治が全部否定されたと言ってもおかしくない状況」と話した。信頼回復についても「インポッシブル(不可能)だ」と否定的な見方を示し、総理・総裁を「代えるしかない」と語った。

  アベノミクスについても「財政出動も金融緩和も次の世代のツケでやっている」と批判した。政府と日本銀行が目指している2%の物価安定目標は、原油など「輸入物価が上がらない限り無理だ」と述べ、政府が取り組むべき政策課題として「財政規律の立て直し」と金融緩和の「速やかなる出口戦略を考えること」を挙げた。

  UBS証券ウェルス・マネジメント本部の青木大樹・日本地域最高投資責任者は電話取材で、内閣支持率について「30%台は黄信号、割れれば赤信号が点滅し、日本株はリスクシナリオを織り込みにいく」と指摘。仮に20%台となれば「総理交代を意識せざるを得ない」として、足元で過度なアベノミクス期待はないものの、経済成長重視の政策が崩れることはマイナス材料との見方を示している。

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