三井住友フィナンシャルグループは、今期(2018年3月期)から導入した事業部門制のもとで三井住友銀行とSMBC日興証券の一体運営を進めて国際的な証券ビジネスを強化する。証券部門の人員を増やすとともに、銀証連携で海外の大企業を対象とした業務を拡大。今後3年で米州と欧州の関連粗利益で6割以上の伸びを目指す。

  銀証連携は、三井住友銀が持つ世界の顧客企業との関係をベースに、SMBC日興と共に債券発行などのニーズを掘り起こし、企業の合併・買収(M&A)や株式引き受けなどの取引を拡大することで、総合的なアドバイザリー金融機関としての地位を築く狙い。証券業務では、20年3月末までに欧米の粗利益合計で約500億円と17年3月末比で200億円以上の上積み目標を掲げる。

  三井住友F国際企画部の寺内徳哉部付部長は、銀証で合同ミーティングを増やすなど「4月以降は共通の目標に向かうマインドセットが進んでいる」と話す。案件獲得にあたっては、「部門の経営目標ROE(株主資本利益率)9%を一つの目安にし、採算性を重視する」と述べた。三井住友Fが強みを持つ貨車・航空機リースや海外投融資の転売ビジネスでも証券との連携に意欲を示した。

  三井住友Fは国際的な証券ビジネスの展開が10年からと、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)やみずほフィナンシャルグループに比較して後発にある。4月からスタートさせた中期経営計画(3カ年)では事業部門制を導入し、銀証一体によるスピード運営を戦略の柱に掲げた。国際部門は今後3年間で本業の儲けを示す業務純益で17年3月期比14%増を計画し、グループ全体の成長をけん引する。

証券海外人員を1.5倍に拡大

  三井住友Fの国部毅社長は5月のインタビューで、日本銀行のマイナス金利政策などによる影響で収益環境が厳しい状況下でも20年3月末までに実質的に約2000億円の純利益拡大を目指す方針を示した。本業の国内融資からの収益が低迷する中、国際事業の強化や非金利収益の増強で成長を見込む考えで、海外ビジネスでは「経済成長が強い米州が一番チャンスがある」と語った。

  国際的な証券ビジネスの拡充に向けて世界で人員を増強する。現在、米州、EMEA(欧州・中東・アフリカ)、東アジア(中国・香港・韓国・台湾)、APAC(東南アジアなど)に展開する海外拠点にはグループで約9000人が勤務する。このうちSMBC日興は4地域に500人を配置しているが、これを今後3年で1.5倍の750人体制に増強する。主に即戦力となる競合他社からの人員採用を進めていく方針だ。

  三井住友Fは3日、三井住友銀とSMBC日興が19年3月をめどに独フランクフルトに新たな現地法人を設立すると発表した。同時に三井住友銀は英ロンドンに支店を開設する。ともに英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)後を見据えた欧州拠点の体制整備が目的で、取引先企業などの資金ニーズに柔軟に対応していく。

  寺内部付部長は、人員増強について「世界の各拠点ごとに専門性の高い人材の採用を機動的に進めていく」という。国際証券事業が後発にあることについては、「人員や組織などフルラインを持つ他社に比べて逆に顧客ニーズにフォーカスしてフレキシブルに対応でき、採算性を重視できるメリットがある」と語った。

  海通国際証券集団のアナリスト、マイケル・マクダッド氏(東京在勤)は、すでに米国でみずほFGが証券業務の拡大に成功していることからも「三井住友Fもキャッチアップできるポテンシャルを持ってい る」とみる。ただ、海外で証券ビジネスを拡大する方向性は良いものの「しっかりした成果が出るかはまだわからない」と述べた。

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