7月2週(10ー14日)の日本株は、日経平均株価が2万円を挟み一進一退となりそうだ。米国や欧州で金融緩和の出口が意識される中、株高を支えてきた過剰流動性の縮小が懸念される。一方、米長期金利の上昇によるドル高・円安期待は株価指数を下支えしそうだ。

  米連邦準備制度理事会(FRB)のバランスシート縮小、欧州中央銀行(ECB)のテーパリング(債券購入縮小)観測が重なり、米欧長期金利が上昇傾向を強めている。金利水準に比べた株式市場の割高感が意識され、世界的な株高傾向に陰りが出ている。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘投資情報部長は、「日本株の投資家の7割は海外勢で、母国のマーケットが調整すれば、他国への投資にも消極的になるのは当たり前」と話す。

株価ボード前の歩行者
株価ボード前の歩行者
Photographer: Tomhoiro Ohsumi/Bloomberg

  米国では12日に地区連銀経済報告(ベージュブック)、14日に6月の消費者物価指数や小売売上高が発表される。消費者物価は前月比で前回の0.1%低下から0.1%上昇への改善予想と、米指標は堅調の見込み。強い内容なら出口がより意識される半面、弱ければ引き締めによる景気への悪影響が懸念され、株式市場は不安定になりやすい。12日のイエレンFRB議長の議会証言では、FRBが示している金融正常化の発言を繰り返す見通しだ。このほか、中国では10日に消費者物価、13日に貿易収支が公表予定。

  一方、7日には日本銀行が長期金利の抑制を狙い5カ月ぶりに指し値オペを実施するなど、日米金融政策の方向性の違いから為替はドル高・円安に進みやすく、企業業績の改善期待は相場全般を下支えする。主要株価指数に連動する上場投資信託(ETF)の分配金捻出に伴う需給懸念も週初で一巡しそうだ。7月1週の日経平均は週間で0.5%安の1万9929円9銭と続落した。米テクノロジー株の調整などが投資家心理を冷やした。

  • ≪市場関係者の見方≫

岡三アセットマネジメントの前野達志シニアストラテジスト
  「米景気は堅調、欧州景気も相当強いとみている。来週の米国のベージュブックでも底堅さが示されるだろう。しかし、利上げを重ねられるほどインフレ基調は高まっておらず、金融当局者の発言を受け直近で上昇し過ぎた米長期金利は短期的には落ち着くだろう。決算発表が始まる米大手金融機関は、株主還元策の強化などから注目が高まっており、業績が良ければ相場の流れも変わりやすい。ただ、米長期金利が上がらないと為替市場ではドル高・円安が進みにくい」

富国生命保険の山田一郎株式部長
  「欧米の長期金利上昇で海外株式市場では過剰流動性の減少が懸念され、日本株の流れを決める海外投資家は買いにくい状況。米国ではバランスシート縮小、欧州ではテーパリングが意識されている。金利が上がるとリスクプレミアムが落ち、株式市場に資金が入りにくい。主要な米経済指標もなく、企業の第1四半期決算の発表を控え材料に欠ける。ストーリー性のある銘柄が日本株を引っ張る状況もなくなっている。一方で、米長期金利の上昇で日本株が円安方向に推移しているのは下支え要因」

コモンズ投信の糸島孝俊チーフポートフォリオマネジャー
  「世界的な金利上昇を受けドル・円や原油先物が底を打ったのか、単なる短期リバウンドなのかを見極める週になる。欧米に比べ日本株の株価バリュエーションが割安なことは追い風。コーポレートガバナンス・コードなどで企業と株主との対話が進展、株主資本利益率(ROE)向上などが見込まれ、出遅れた銘柄は物色対象になる。一方、第2週は米中首脳会談から100日目を迎えるため、米中関係の変化を見越して市場が大きく振幅する可能性もある」

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