国債市場では長期金利が約5カ月ぶりに一時0.10%まで上昇。日本銀行が初めて長期債を対象にした固定利回りで無制限に買い入れる「指し値オペ」を実施した水準に近づいた。市場参加者の間からは0.1%を超えると再び発動されるとの見方が出ている。

  現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の347回債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値より1ベーシスポイント(bp)高い0.09%で取引を開始。午後に入ると売りが優勢になり、一時は0.10%と2月15日以来の高水準を付けた。中期債の新発5年債利回りがマイナス0.05%と昨年11月以来の水準まで上昇するなど中期債の需給悪化懸念につられている。

  メリルリンチ日本証券の大崎秀一チーフ金利ストラテジストは、「中期ゾーンはマイナス0.10%からゼロ%の間に入っているので、むしろ以前より適正な水準とも言える」と指摘。一方、長期金利については、「0.10%に近づけば押し目買いが入ってくるし、0.10%を付ければ日銀による指し値オペの思惑が強まってくる。0.10%を超えてきても指し値オペを実施しなければ、まだインフレ率が上がってきていないうちに金利上昇を容認するメッセージになってしまう」と述べた。

  日銀が前回、指し値オペの実施を通知したのは2月3日午後0時30分。残存期間5年超10年の国債が対象だった。利回りを0.110%に設定し、7239億円相当の国債を買い入れた。昨年9月に導入を決めた「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」では、長期金利の目標をゼロ%程度に置き、中短期ゾーンの利回り低下を抑える方針を示した。しかし、海外金利の上昇や国債買い入れオペの運営に対する不透明感などから、長期金利は水準を切り上げ、1年ぶり高水準となる0.15%まで達する場面があった。

  指し値オペ実施などの影響で、長期金利は4月に0%付近まで低下。その後も0%から10bp以内で収まる展開が続いている。半面、欧米金融政策の引き締め観測を背景に超長期を中心にした利回り曲線のスティープ(傾斜)化が進んだほか、中期債の需給悪化懸念などもくすぶり、長期金利には外的な上昇圧力が掛かっている。

  バークレイズ証券の押久保直也債券ストラテジストは、「あすにかけて日銀の対応を含めて試しにいくような展開があるかもしれない」と指摘した。「5年金利はマイナス0.05%と、指し値オペが入った水準に非常に近いところまで再び上昇。10年金利は0.11%が『鉄板』というムードが強い中で、そこで日銀が何もしないとマーケットがさらに上を試しにいく可能性もある」と述べた。

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