英国の欧州連合(EU)離脱による金融機関への影響を和らげようと、同国の主要銀行や資産運用会社、保険会社が柔軟な移民ルール策定を重要事項にするようメイ政権に呼び掛けた。

  英金融街シティーのロビー団体「ザ・シティーUK」が6日公表したリポートによると、英政府が金融機関の外国人雇用を支える方向にビザ・移民制度を変更し、市場アクセスなどを巡ってEUと合意できれば、2025年までに430億ポンド(約6兆2900億円)の経済プラス効果を生む可能性がある。これでEU離脱による負の影響を一部相殺できるが、EU残留で得られるプラス効果には及ばないとしている。

  元財務省当局者でリポート発表を率いたマーク・ホバン氏はインタビューで、「英金融セクターに外国人がやってきて働ける状況を維持する必要性について、政府に訴えねばならない。世界中から人材が集まるこのセクターのグローバル性を考えれば、ことさら重要だ」と述べた。

  同氏のチームはリポートで、「英EU離脱などさまざまな難題が引き起こす影響に対応するためのきちんと考えられた戦略がなければ、金融業界は停滞する」と警告。その上で、政府に採用を呼び掛けるパッケージは同業界が「相当な調整期間の後に、緩やかなペースではあっても、成長軌道に戻る」のに寄与すると説明。すぐ採用される見込みがない人物も含め、欧州市民が引き続き英国に仕事を目的に移動できるよう確保すべきだと訴えた。  

  リポートによれば、英国への移民は昨年、規制の強化と同国を去るEU市民の増加を背景に約25%純減して24万8000人となった。外国人雇用で企業が5年ビザのスポンサーとなるコストは16年から17年の1年で250%上昇して現在では7000ポンド、外国人従業員を雇う際の年間最低給与は15年7月以降に44%上がって3万ポンドになったという。

  ロンドンに欧州本部を持つ一部のグローバルバンクは既に、一部機能をEU域内に移転させる方向で、「将来どこかの時点で後戻りできなくなる恐れがある」とリポートは続け、複数拠点を維持するコストが不経済となれば、金融機関の一斉移転もあり得ると警告。また、英国とEUの金融機関が「互恵市場アクセス」を確保し、2年の交渉期間後に状況が一変する状況を回避するため、移行期間を設ける必要性も強調した。

原題:U.K. Finance Firms Seek Flexible Immigration to Ease Brexit Pain(抜粋)

最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE