北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射した後、同国の金正恩労働党委員長に対し韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は「レッドラインを越えない」よう警告、越えれば断固たる対応をとると宣言した。

  問題は、そのレッドラインがどこなのか明確でないことだ。

  微妙な問題であることから匿名を希望した韓国大統領府の関係者は、米本土を攻撃可能なミサイル開発を進める北朝鮮の動きは制裁強化に値するだろうと指摘。一方で、文大統領のレッドラインは「抽象的な概念」だと説明し、同大統領が望む対話は北朝鮮の兵器開発凍結が前提のため早期実現は難しいだろうと述べた。

  文大統領は今週末にドイツで開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議で他国首脳との会談を重ねる。だが明確な戦略のなさは、北朝鮮問題で自らの役割低下を招きかねない。

  北朝鮮に対して強い態度をとるように装いつつ性急な行動に反対を呼び掛け、「レッドライン」もはっきりさせない文大統領は、国内で優柔不断に映るリスクも抱える。新政権への期待から文大統領の支持率は80%前後と高い水準を誇るが、ギャラップ・コリアが先週実施した調査によると、支持者のうち北朝鮮政策を支持の理由に挙げた回答したのはわずか1%。外交政策が理由だとの回答は2%にすぎなかった。

  韓国外国語大学のイ・ジェムク教授(政治科学)は「ICBM試射で文大統領の人気と対北朝鮮政策は試されている」との見方を示す。同大統領は既に一定の突き上げを受けており、主要野党・自由韓国党の鄭泰沃(チョン・テオク)議員は大統領が制裁と対話の二兎を追うようなアプローチを今後も続ければ、結局何もできないだろうと警告した。

原題:Moon’s ‘Abstract’ Red Line on Kim Puts South Korea in Back Seat(抜粋)

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