5日の東京外国為替市場では円が一時全面高。米国が北朝鮮による大陸間弾道ミサイル(ICBM)の試射を確認したことを受けて、北朝鮮情勢緊迫化への懸念が強まり、リスク回避に伴う円買いが先行した。

  ドル・円は5日午後4時3分現在、前日比ほぼ変わらずの113円27銭。朝方に113円36銭を付けた後、米国務長官のコメントを受けて円買いが強まり、一時112円83銭まで値を下げた。一方、午後はアジア株の上昇を背景に円売りが優勢となり、ドル・円は113円台前半を回復した。

  クレディ・アグリコル銀行の斎藤裕司外国為替部長は、「地政学的緊張のステージが上がったことは事実」とした上で、「東アジアをめぐる地政学的リスクが円買いなのか円売りなのかという根本的な疑問は残る」と指摘。ただ、既存のポジションの巻き戻しを連想させることから、「投機的な円買いが入りやすい」という経験則はあると述べた。

  円は午前の取引で主要16通貨全てに対して上昇。一方、午後にかけては急速に伸び悩み、オーストラリアドルやユーロなど大半の通貨に対して小幅安に転じた。斎藤氏は、「今のところは北朝鮮問題はG20(20カ国・地域首脳会議)で議論すると思われるので、きょうのところはこの材料は終了になる可能性が高い」とし、「マーケットの関心は再度ファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)に移っている」と話した。

  国連安全保障理事会は5日午後、北朝鮮問題で緊急会合を開く。ティラーソン米国務長官は4日の発表資料で、ICBMの試射は「世界にとっての脅威の新たな拡大を意味する」とし、「国際的な脅威を除去するために世界が行動することが必要だ」と述べた。トランプ大統領は7、8日にドイツ・ハンブルクで行われるG20首脳会議に合わせて中国の習近平国家主席と会談する予定。韓国の韓民求国防相は5日、北朝鮮が6度目の核実験を実施する可能性高いとの考えを示したとロイター通信が報じた。

  ドイツ証券外国為替営業部の小川和宏ディレクターは、先週は日銀と他国との金融政策との方向性の違いから「緩やかな円キャリーという感じだったが、リスクテイクムードに水を差された形となっている」と指摘。「足元ではリスクテイク=円売りだったということで反対の動きにはなりやすい」と話していた。  

  5日のアジア株は上昇。日経平均株価は一時100円以上下げていたが、午後にはプラスに転じた。IG証券の石川順一シニアFXストラテジストは、世界的に株高基調で原油先物も反発が続く中、「一気に円高圧力が強まる感じではない」と指摘。欧米の中銀が金融緩和からの脱却に向かう一方、「日銀だけは緩和を継続する姿勢」で、金融政策の方向性の違いからも「円高圧力はそれほど強まらないと思う」と話した。

FOMC議事録に注目  

  米国ではこの日、6月13、14日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録が公表される。同会合ではフェデラルファンド(FF)金利誘導目標を1-1.25%のレンジに引き上げ、年内あと1回の利上げ見通しを維持。さらに4兆5000億ドルの保有証券縮小計画について詳細を示した。

  クレディ・アグリコル銀の斎藤氏は、「今週のテーマはG20や6月の米雇用統計であり、少なくとも先週からの円売りトレンドはそれまで変わらない」と予想。FOMC議事録では「バランスシート縮小の時期に関するさらなる手掛かり探りたい」と話した。 

最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE