グレッグ・テッパー氏は毎年、ロシアに1500人の観光客を送り出してきた。1992年にエクセター・インターナショナルを創業してから、同氏は米国でロシア高級観光旅行の第一人者の一人となった。そんな同氏にとって、今年は久しぶりの当たり年となっている。恐らく過去最高の年と言ってもいいぐらいだ。

都市型娯楽施設として再オープンした旧造船所の「新オランダ島」
都市型娯楽施設として再オープンした旧造船所の「新オランダ島」
Photographer: Peter Kovalev/TASS

  「米国でロシアに対してこれだけ需要があるのは、これまで最高の年だったと思われる1989年以来だ。当時はペレストロイカ(改革)やゴルバチョフ(元ソ連大統領)が話題となり、人々はよく耳にする場所を実際に見てみたいと思った」 とテッパー氏は語った。

  現在では、原油業界の低迷、通貨ルーブルの急落、米国の対ロ制裁、トランプ米大統領を巡る政治スキャンダルなど、ロシアが再びニュースの見出しを飾っている。それに伴い、少なくとも観光業には資金が戻ってきた。

  ホスピタリティー業界の投資家向け助言会社、JLLホテルズ・アンド・ホスピタリティー・グループのモスクワ部門のデータによると、1-3月(第1四半期)のホテル稼働データは5年ぶりの高水準となった。

全面改修を終えたモスクワのボリショイ劇場
全面改修を終えたモスクワのボリショイ劇場
Photographer: Sergei Fadeichev/TASS

  また、ロシア連邦航空運輸局のデータによれば、1-5月のロシアの航空会社の乗客数は前年比22%増の3581万人。5月単月で867万2000人がロシアに到着したこととなり、過去最高を記録した。

今年乗客数が伸びているロシアの航空会社
今年乗客数が伸びているロシアの航空会社
Photographer: Andrey Rudakov

  一方、欧米の対ロ制裁を受け、ロシア人の国内旅行も大きく回復している。「ロシア政府のランクが高い多くの関係者にとって、国外旅行は不可能または望ましくなくなった」と、JLLのロシア部門責任者タチアナ・ベラー氏が説明した。また、政府当局者のみならず、ロシア人が自国再発見の旅に出ている傾向が最近見られる。

  ただ、米国人のロシアへの関心が新たに高まったのは、全てトランプ氏が原因だ。「一般的な論理とは逆に、米ロ間の緊張が始まってから高級ホテルで米国人の客の割合は上昇している」と、ベラー氏は述べた。

  また、制裁はロシアに国内再生の取り組みを余儀なくさせることで、観光業に恩恵を与えている。サンクトペテルブルクにある旧造船所「新オランダ島」は長期にわたり閉鎖されていたが、6月に飲食店などを完備した都市型娯楽施設として再オープンした。「現在サンクトペテルブルクでホットな場所だ」とテッパー氏は述べた。

「新オランダ島」は現在サンクトペテルブルクでホットな場所
「新オランダ島」は現在サンクトペテルブルクでホットな場所
Photographer: Alexander Demianchuk/TASS

  ロシア再生の取り組みは首都モスクワではさらに顕著で、ボリショイ劇場は8億ドル(約900億円)の全面改修を終えたばかりだ。

  ロシア料理界の動きも活発化しており、「世界のベストレストラン50」に選ばれた「ホワイト・ラビット」などは、ロシア料理をボルシチやストロガノフ以外の領域に広げている。

「世界のベストレストラン50」に選ばれた「ホワイト・ラビット」のダイニングルーム
「世界のベストレストラン50」に選ばれた「ホワイト・ラビット」のダイニングルーム
Source: White Rabbit

原題:Tricky Politics Means Huge Business for Russia’s Travel Market(抜粋)

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