日本銀行が集計した企業短期経済観測調査(短観)の「企業の物価見通し」は、1年後の平均値が0.8%上昇と3月の前回調査(0.7%上昇)を上回った。前回調査から上昇したのは昨年12月以来。

キーポイント

  • 3年後と5年後の平均値はともに1.1%上昇-前回はそれぞれ1.0%上昇、1.1%上昇
  • 1年後は0%程度と回答した企業が39%と最多
  • 企業に自社の販売価格の見通しを聞いた質問では、1年後が0.4%上昇、3年後が1.0%上昇、5年後が1.2%上昇-前回はそれぞれ0.4%上昇、0.9%上昇、1.1%上昇


背景

  5月の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は前年比0.4%上昇と5カ月連続で上昇した。ガソリンを含むエネルギー価格の押し上げ効果が大きく、物価の基調を示す生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPIは2カ月連続の横ばいと低迷が続いている。

  黒田東彦総裁は6月16日の金融政策決定会合後の会見で、労働需給の引き締まりが一段と明確になる中で賃金上昇圧力が着実に高まっており、「次第に販売価格やサービス価格の上昇につながっていく」と強気の姿勢を示した。

  日本銀行は19、20両日の金融政策決定会合で経済・物価情勢の展望(展望リポート)を策定し、新たな物価見通しを公表する。4月の展望リポートでは、コアCPIの17年度見通しを1月の1.5%上昇から1.4%上昇へと小幅の下方修正にとどめ、2%物価目標の達成時期を「2018年度ごろ」に据え置いた。

エコノミストの見方

  • バークレイズ証券の永井祐一郎エコノミストは6月21日付のリポートで、このところ「家計の予想インフレ率は持ち直しの動きを見せている」と指摘。今回の調査で予想物価上昇率の持ち直しの動きが「企業側でもみられるかが焦点となる」とみていた。
  • 三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所の宮嵜浩シニアエコノミストは6月20日付のリポートで、食料品や日用品の値上げが短期の予想物価上昇率を押し上げたとみられるが、日銀が重視する中長期的な予想物価上昇率は「依然として低水準にとどまっている」と指摘した。
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