「貧乏な家に生まれたら、貧しいまま死ぬ」。英国のある政治家は6年前にこう嘆いた。悲しいかな、状況はそれ以来ほとんど何も変わっていない。

  スタンダード・ライフ・インベストメンツのリポートによれば、親の収入と子の収入に高い相関関係があるのは英国だけにとどまらず、米国やフランス、イタリアにも当てはまる。北欧諸国やオーストラリア、ドイツ、カナダにもこうした関係は多少なりとも存在する。

  これは最も影響を受けている国に難題を突き付けている。このような社会は人的資本を浪費したり、誤って配置したりする傾向があり、労働者はやる気がそがれがちとなり、その結果、生産性が低下する。それに伴う格差拡大は経済成長に有害な影響を及ぼしていることが分かっているとリポートは指摘した。

親と子の収入の相関と所得格差
親と子の収入の相関と所得格差
Bloomberg

  リポート執筆で主導的役割を果たしたスタンダード・ライフのチーフエコノミスト、ジェレミー・ローソン氏は、「証拠が得られる事実上全ての国で、親の収入と子の収入見通しには明らかな相関がある」と指摘。「流動性の低さに対処するのは難題だ。各国はそれぞれ独特の制度的・政策的な環境の問題に直面しており、世界的な特効薬はない」との見方を示した。

  明らかな解決策としてまず挙げられるのは教育で、幼児期の教育支出や能力別に分けない学校制度などが含まれるだろう。だが、問題の根は深い。

  米国では、実質賃金の30年にわたる緩慢な伸びを受けて研究者が答えを探った。30歳時点で親が同じ年齢の時よりも収入の高い人の割合を追跡したところ、かなりの下降傾向が見られた。1980年代生まれの人で親の同年齢時より収入の高い人の割合はわずか50%と、50年代生まれの世代の約80%を下回った。

  主な原因は産業の落ち込みだ。米中西部では、84年生まれの人の41%しか親の収入を超えていない。40年生まれの人では95%だった。ローソン氏は「トランプ陣営のメッセージがミシガンやオハイオ、ペンシルベニアなどの州で高く評価されたのは無理もない」と語った。

色の濃い地域は社会階層の流動性が低い
色の濃い地域は社会階層の流動性が低い
Bloomberg

  だが、英国はもっと社会的な硬直性が高い。高所得層の父親が低所得層の父親に対して持つ経済的優位性の約半分は子に受け継がれている。一方で、経済協力開発機構(OECD)の分析では、英国は社会経済的背景が学生の成績に最大の影響を及ぼすと見られた国の一つであることが分かった。

  ローソン氏は「子は大人になって親より多くの収入を得る可能性はあるが、親の社会階級から抜け出す可能性は低下しつつある」と分析した。

原題:Yes, Your Parents’ Social Status Does Influence Your Earnings(抜粋)

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