世界の主要国で景気拡大が同時に進む中、中央銀行の動きがシンクロし始めるのは自然なことだ-。プリンシパル・グローバル・インベスターズのチーフグローバルエコノミスト、ロバート・バウア氏は、米国に続き欧州の中銀が金融正常化へ舵を切りつつある中で、日本銀行の黒田東彦総裁も年内に金融緩和の出口について語らざるを得なくなるとみている。

  ポルトガルで今週開催された欧州中央銀行(ECB)の年次中銀フォーラムでは、ドラギECB総裁が「デフレ圧力はリフレの圧力に置き換わった」と発言、イングランド銀行のカーニー総裁も利上げ時期が近づいていることを示唆するなど、金融当局者から緩和縮小に向けたメッセージが相次いだ。

  バウア氏は29日、都内で英語でのインタビューに応じ、ドラギ総裁が出口について話し始めたことは「非常に適切」だとし、「黒田総裁も年末までにある種の出口について話し始めるか、少なくとも10年債利回りのペッグをゼロから引き上げなければならないだろう」と語った。

  日本経済については、「欧州経済がコンセンサスを上回ったように、ある種上振れするだろう」とし、インフレも徐々に上がり始めると予想。「日本経済の改善が続けば、黒田総裁は今後数カ月の間に発言のトーンを変え始めると思う。もし変えないのなら、それは間違いだ」と話した。

  米金融政策ではこれまで年内3回の利上げを想定していたが、今は「6:4の確率」で次回利上げを来年まで先送りするとみている。米連邦準備制度理事会(FRB)は9月にバランスシート縮小の開始時期を発表し、10月か11月に縮小を開始する可能性があり、利上げはその影響を見極めた後になると見込む。

米長期金利は数年で3.5~4%へ

  その上で、年内利上げを見送り、バランスシートの縮小を開始すれば、「短期金利には多少の下押し圧力、長期金利には多少の上昇圧力がかかり、イールドカーブは多少スティープ化する」と予想。「銀行・金融にとっては助けとなるので、銀行株をショートにしている人はポジションを再考すべきだ」と語った。

  バウア氏は、米金利は「漸進的な長期上昇トレンド」にあり、米長期金利は今後数年かけて3.5~4%へ徐々に上昇するとみる。今は2007年夏から16年夏までの「経済的醜さの10年間」から「よりノーマルな期間」への移行局面にあり、「そうであるなら金利も正常な姿に向かうはずだ。5%、8%ではないが、潜在成長率に見合った水準へだ」と話した。
 
  ドル・円相場については、2月のインタビューで年後半に1ドル=120~125円へ上昇する可能性があるとしていたが、その見立ては「間違いだった」と語った。バウア氏は、「トランプ政権に幻滅させられ、米経済成長の著しい減速の可能性を懸念した結果、投資家が安全通貨として円にシフトした」と分析。もっとも、緩和正常化に向けた動きで日銀は他の中銀より遅く、「円は恐らく多少弱くなる。120円を付けるかどうかは分からないが、あり得る」との見方を示した。

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