東京外国為替市場では円が上昇。欧米株安に続くアジア株の下落を背景に円買いが先行し、ドル・円相場は一時3営業日ぶり安値を付けた。

  30日午後4時32分現在のドル・円は前日比0.1%安の112円08銭。午後は米長期金利が時間外取引でじり高となる中、下げ幅を縮小する場面もあったが限定的だった。前日の海外市場では112円93銭と5月17日以来の水準までドル高・円安が進んだ後、欧米株の下落を受けて111円台後半まで反落した。

  オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)マーケッツ本部外国為替・コモディティー営業部の吉利重毅部長は、「ユーロやポンド主導でドル売りになる中で、クロス円(ドル以外の通貨の対円相場)がドル・円をサポートしていたが、ドル・円単体での買い材料は堅調な株が中心だったこともあり、株が軟調な中でドル・円は下がった」と説明。「昨日の今日で海外株が大きく持ち直すことも想像しづらく、ドル・円は111円10~20銭くらいまでの下値リスクもあるのではないか」と話した。

  ブルームバーグのデータによると、円は主要16通貨の大半に対して買い優勢となっている。今週の市場では欧州やカナダの中銀総裁のタカ派発言を受けて欧州通貨高やカナダドル高が進み、円の重しとなっていた。

  30日のアジア株式相場はほぼ全面安となり、日経平均株価は一時2万円を割り込んだ。29日の欧州株式相場は9カ月ぶりの大幅安となり、米国株も下落した。

  CIBC証券金融商品部の春木康部長は、欧米株が大きく下落し、シカゴ・オプション取引所(CBOE)ボラティリティー指数(VIX)が上昇したことがドル・円の重しになったと説明。「ドル・円は週初めに近々のレンジを越えてきたことで短期勢がポジションを作っていたとみられ、そうしたポジションの利益確定が出たのだろう」と話していた。

  米国ではこの日、5月の個人消費支出(PCE)が発表される。ブルームバーグのエコノミスト調査によると、米金融当局がインフレ目標の基準とするPCE価格指数は前年同月比1.5%上昇と4月の1.7%上昇から伸びが鈍化すると予想されている。

  ソニーフィナンシャルホールディングス金融市場調査部の尾河真樹部長は、「PCE価格指数が予想を下回ってしまうと、米長期金利の低下要因につながりかねない」と指摘。もっとも、来週は米供給管理協会(ISM)製造業景況指数など主要な米経済指標の発表が予定されており、「米雇用統計をみないと何とも動きづらい」と話した。

  米10年債利回りは時間外取引で3ベーシスポイント(1bp=0.01%)上げて2.30%程度。ドイツや英国の金利上昇につれて週初からは15bp上げている。

  ユーロ・ドルは前日に引き続き1年ぶりの高値圏となる1ユーロ=1.14ドル台前半で推移。ポンド・ドルは1ポンド=1.3030ドルと5月23日以来の高値を付けた後にもみ合う展開となっている。

  尾河氏は、「金利差では米国の方が高いが、米国はすでに出口戦略に向かっており、これから変えていく方に市場の注目は集まりがち」だとし、出口への期待が集まっている間はユーロは堅調に推移するだろうと話した。
  
  豪ドルは対ドルで3月以来となる1豪ドル=0.77ドル台へ一時上昇。中国の6月の製造業購買担当者指数(PMI)が上昇したことが手掛かりとなった。

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