トランプ米政権は29日、連邦最高裁判所の見解に従い修正した入国制限令を執行した。イスラム教徒が多数派を占める6カ国からの入国を制限する同大統領令は3月の発令後、市民や人権団体などの抗議を招いたほか、裁判所により執行を差し止められていた。またこの日、執行直前にハワイ州が裁判所に異議を申し立てた。

  今回の入国制限令には新たな規則が盛り込まれており、空港などで混乱を招くことはないと政府は説明している。トランプ政権は米東部時間29日午後8時(日本時間30日午前9時)に同令を執行した。

  執行の30分前に、ハワイ州はホノルル連邦地裁のデリック・ワトソン判事に対し、米政府が26日の最高裁命令に反していないか判断するよう申し立てた。米司法省はこの件に関してコメントを控えた。

  混乱を最小限にとどめるため、国務省と国土安全保障省、司法省が事前に調整。領事館職員や航空会社、旅行者のための明確な指針を設けた。また多くの旅行者が空港で入国を拒否されて自国に送還されるなどした1月の最初の入国禁止令の時とは異なり、今回はビザ(査証)保有者は入国が認められる。

真正な関係

  今回、入国制限の対象となる国はイラン、リビア、イエメン、ソマリア、スーダン、シリア。最高裁が入国の条件とした米国との「真正」な関係を持つ者は、親や配偶者、子供、兄弟姉妹などの近親者とされた。祖父母やおじ、おばは含まれない。またビジネスないし職業上のつながりを持つ6カ国からの旅行者と学生は、関係を公式に正式文書で証明できれば入国が認められる。

  国務省のウェブサイトに掲載された正式指針によれば、海外の米大使館などでビザの認可を行う領事館職員に大きな裁量が与えられる。例えば、米国内に近親者がいない6カ国の国民にビザを発給するかどうかを領事館職員が決められる。

  しかし、これら6カ国がなぜ制限対象とされたかや、どうして難民を国家安全保障上の脅威と見なすのかなど、当初から批判されてきた点について、政府当局者は依然説明しようとしない。移民政策の米シンクタンク、移民政策研究所によれば、2011年以来、米国に定着した難民78万4000人のうち、テロ活動を計画したとして逮捕されたのは3人だけだ。

  また「真正」な家族関係が具体的に何を指すかに関する政府の結論にも直ちに批判が集まった。祖父母を「真正」な関係に含めなかったこともその一つだ。

原題:Trump Travel Ban Goes Into Effect Amid New Court Challenge (1)(抜粋)

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