2011年3月に発生した福島第一原子力発電所事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東京電力の勝俣恒久元会長と、武藤栄、武黒一郎両元副社長の3人の裁判が30日、東京地方裁判所で始まった。裁判では、3人が原発事故につながる大津波の襲来を予見できたかどうかなどが主な争点となる。

  傍聴していた福島原発告訴団弁護団の海渡雄一弁護士が同日、都内の集会で話したところによると、午前中行われた罪状認否で、被告3人は事故を予見することは不可能だったとして無罪を主張した。

  検察役を担う指定弁護士らが起訴時に公表した公訴事実の要旨によると、東電元会長らは想定される自然現象により原子炉の安全性を損なう恐れがある場合には適切な措置を講じる業務上の注意義務があったにもかかわらず、津波の襲来による重大事故発生の可能性を予見しながら原発の運転を継続。原子炉の炉心損傷による水素ガス爆発等で負傷者を出したほか、近隣病院の入院患者に長時間の避難を余儀なくさせるなどして死亡させたとされている。

  海渡弁護士の16年2月の資料によれば、02年に地震調査委員会が三陸沖北部から房総沖でマグニチュード8.2前後の津波地震が発生する可能性があるという長期評価を示しており、被告らは福島第一原発に10メートルを超える津波が襲う危険を予見することが可能だったと指摘。被告らは津波対策を先延ばしし、事故の直接的な原因につながったと主張している。

  福島第一原発事故に対する旧経営陣の刑事責任を巡っては、2度にわたって不起訴とした東京地方検察庁の判断を有権者11人で構成される東京第5検察審査会が覆した。これを受けて裁判所が指定した検察官役の弁護士らが16年2月に勝俣元会長ら3人を強制起訴した。

最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE