債券相場は下落。長期金利は3カ月半ぶりの水準まで上昇した。欧米で金融緩和を縮小する動きが広がるとの観測を背景に長期金利が上昇した流れを引き継ぎ、売りが先行した。日本銀行が実施した長期ゾーン対象のオペ結果が弱めとなったことも相場の押し下げ要因となった。

  30日の現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の347回債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値より1ベーシスポイント(bp)高い0.065%で開始。その後は0.085%と3月15日以来の水準まで売られた。前日は新発10年物として業者間取引を仲介する日本相互証券で、約2カ月ぶりに取引が成立しなかった。

  メリルリンチ日本証券の大崎秀一チーフ金利ストラテジストは、「海外の中央銀行当局者によるタカ派発言を背景に、海外金利の一段上昇を警戒して買いが乏しい中で売りが売りを呼ぶ展開になっている」と説明。「きょうは日銀のオペ運営方針の発表も控えて、恐らく減額はないと思われるが警戒感があって買い進めにくい」面もあると言う。

  超長期債も安い。新発20年物の161回債利回りは4bp高い0.60%と約1カ月ぶり、新発30年物の55回債利回りは4.5bp高い0.855%と3カ月ぶり水準にそれぞれ上昇した。新発40年物の10回債利回りは2.5bp高い1.015%と約3週間ぶり高水準を付けた。 

  長期国債先物市場で中心限月9月物は、前日比9銭安の150円35銭で取引開始。午後に入るとオペ結果を嫌気して下げ幅を拡大し、一時は150円03銭と3月半ば以来の水準まで下げ、結局は33銭安の150円11銭で引けた。

米独債安

  29日の米債相場は下落。米10年債利回りは前日比4bp高い2.27%程度で引けた。一時は2.29%と約1カ月ぶり高水準を付けた。欧米で金融緩和を縮小する動きが広がるとの観測から欧州主要国の国債が売られ、米債も連れて下げた。ドイツ10年物国債利回りは8bp高い0.45%に上昇。時間外取引では0.47%程度まで上昇した。

  日銀が実施した長期国債買い入れオペでは、残存期間「5年超10年以下」が4500億円、物価連動債が250億円と、ともに前回と同額。オペ結果によると、5年超10年以下の応札倍率は前回からやや低下したが、落札金利は市場実勢を上回った。

  みずほ証券の山内聡史マーケットアナリストは、「欧州発の金融緩和縮小や引き締め方向という思惑が出ており、こうした流れが円債市場にも波及している。午後の相場の一段の下落については、弱めの日銀オペ結果が影響しているもようだ」と話した。

日銀国債買い入れオペ結果はこちらをご覧下さい。

オペ運営方針

  日銀はこの日の午後5時、7月の長期国債買い入れオペの運営方針を公表する。6月の同方針では残存「1年以下」の買い入れ額レンジの上限が引き上げられた一方、残りの1年超のゾーンについては全て据え置きとなった。

  野村証券の松沢中チーフストラテジストは、「利付国債は全年限で据え置きが見込まれる。10年金利目標が脅かされるようなイールドカーブのゆがみが見当たらない」と指摘。「焦点は短期国債オペの残高見通し。現行の買い入れペース継続だと、償還との見合いで残高は前月比2兆円落ちる見込み。ただし短国金利がマイナス準備預金金利の推移になっていることや、短中期債相場がやや不安定化していることに鑑みて26兆~28兆円という設定も考えられる」と言う。

  一方、マスミューチュアル生命保険運用戦略部の嶋村哲金利統括グループ長は、「日銀は運営方針で買い入れ額を減らす方向でレンジを変更し、量へのコミットを後退させていくための下地を作るのではないか」と指摘。「超長期ゾーンを中心にレンジの上限は変えずに下に広げる方が、レンジ自体を下方シフトさせるより有力だろう。年間の保有残高増はあくまでめどであることを強調し、10年債利回りを『ゼロ%程度』に誘導することに焦点を当てていけば、実質的に金利コントロール策だけになる」と話した。

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