米国のいわゆる「ラストベルト」と呼ばれる重工業地帯の一角、オハイオ州出身のセバスチャン・クライスさんはケント州立大学に2年通ったものの、ドロップアウトすることを決めた。木材会社の84ランバーが24歳のクライスさんに管理職を用意したのだ。

84ランバーの工場(ペンシルベニア州)
84ランバーの工場(ペンシルベニア州)
PHOTOGRAPHER: STEPHANIE STRASBURG/BLOOMBERG

  米国有数のサプライチェーンを成す84ランバーは大学で学位を取得するより、商売を学ぶ方が価値があるというメッセージを伝えるため多額の費用を広告に投じている。同社は管理職見習いに年4万ドル(約450万円)ほどの報酬を支払うが、これはほんの始まりだ。最も稼ぐ店舗の責任者ともなれば20万ドルを受け取ることも可能だ。ボーナスを含め100万ドル余りを稼ぐ社員もいるという。だが驚くことにそれでも適切な人材を見つけるのは難しいという。

  米国ではかつて、あまり勉強熱心でない高校生は職業プログラムに参加していた。今は違う。大半の高校生が大学に進学し、卒業を目指す。だが半数が中退に終わるとジョージタウン大学教育・労働力センターで責任者を務めるアンソニー・カーネベル氏は言う。

84ランバーの工場での壁パネル組み立て
84ランバーの工場での壁パネル組み立て
PHOTOGRAPHER: STEPHANIE STRASBURG/BLOOMBERG

  ドロップアウト組にとってはブルーカラーの仕事への道も狭くなっている。ワシントンのシンクタンク、サード・ウェーの新たな調査によれば、手作業や低水準のスキルしか必要としない仕事は1960年には米労働力全体の63%を占めていたが、2014年には39%に低下した。

  それでも今はクライスさんのような人々が脚光を浴びている。労働市場が逼迫(ひっぱく)しているためだ。建設業界では人手不足が特に深刻だ。「高校のクラスで忘れられた半数の人たちが突然、貴重な存在となった。研修で鍛え上げられるまで価値はないけれども」とカーネベル氏は話した。

原題:Want a $1 Million Paycheck? Skip College, Work in a Lumberyard(抜粋)

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