29日の東京株式相場は反発し、TOPIXが年初来高値を更新。米国長期金利の上昇に加え、米テクノロジー株の反発や国際商品市況の上昇から投資家心理が好転した。銀行など金融株が上げ、鉄鋼など素材株、機械など輸出株、非鉄金属や商社株といった資源セクターも高い。

  TOPIXの終値は前日比9.70ポイント(0.6%)高の1624.07、日経平均株価は89円89銭(0.4%)高の2万220円30銭。

  りそな銀行の戸田浩司チーフ・ファンド・マネジャーは、「このところのイエレンFRB議長やドラギECB総裁の姿勢からは目先の物価だけをみているのではなく、金融資産の上昇にアラートを示していることがうかがえる」と言う。欧米の金融政策はタカ派的になったものの、「マーケットは混乱せず、持続的な経済成長をもたらす金融政策への市場の信認の高さが株価の安定に表れている」との認識を示した。

東証内
東証内
Photographer: Yuriko Nakao/Bloomberg

  28日の米国債は期間長めの債券が下落し、イールドカーブはスティープ化した。2年債利回りが2ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下し1.35%となった半面、10年債利回りは2bp上昇し2.23%。2・10年債や2・30年債の利回り差が広がった。

  イングランド銀行(英中央銀行)のカーニー総裁は28日、金融政策委員会は近く利上げを開始することが必要になるかもしれないと発言。カナダ中銀のポロズ総裁も、利上げ検討の可能性をあらためて示した。欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は、市場でタカ派的と解釈された前日の自身の発言について、訂正や釈明をしなかった。

  野村証券投資情報部の若生寿一エクイティ・マーケット・ストラテジストは、「米10年債利回りは6月に入り200日移動平均線を下回っていたが、足元では取り戻しつつある」とした上で、「FRBが緩やかに金融政策の正常化を続けるなら、長期金利は下ではなく、上方向という見方を変えなくとも良い」とみる。米国のイールドカーブのスティープ化については、「海外融資の利ざや改善につながるメガバンク株、外債投資をしている保険株などにプラス」と指摘した。

  業種別では金融、素材など割安なバリューセクターの上昇が目立った。TOPIXグロース、バリューの今週のパフォーマンスをみると、グロースのマイナス0.01%に対し、バリューはプラス1.6%。りそな銀の戸田氏は、「5月までは経済指標が良くなく、利上げができないような状態では投資家は幅広い銘柄を持てるほどの自信がなかった」とした上で、「米金利が緩やかに上昇する期待がにわかに出てきた。経済が持続的に安定成長するなら、一部のグロース銘柄だけでなく、幅広い業種が投資対象になる」と話す。28日の米国株は、テクノロジー株の比率が高いナスダック総合指数が1.4%高と急反発した。

  もっとも、銀行など金融セクターを中心に主要株価指数は午後にかけて伸び悩み。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の荒井誠治投資ストラテジストは、需給面で6・12月末は「海外年金ファンドが株価意識を高める月で、銀行や鉄鋼といった年初からのパフォーマンスが悪いセクターに『お化粧買い』が入りやすい」と分析。季節性要因がなくなれば、「米国の自動車販売など再びファンダメンタルズに焦点が移る」ため、経済統計などを受け米金利が下がる可能性もあり、日本株も「一方的に買い上がる状況はストップしそう」とみていた。

  東証1部33業種は鉄鋼、その他製品、証券・商品先物取引、海運、その他金融、非鉄、卸売、ガラス・土石製品、機械、銀行など29業種が上昇。ゴム製品、繊維、食料品、鉱業の4業種は下落。売買代金上位では、大阪工場の現況にクレディ・スイス証券などアナリストの好感が相次いだコマツ、メリルリンチ日本証券が投資判断を上げた日東電工が高く、任天堂やJFEホールディングス、三菱重工業も上げた。半面、第1四半期の営業減益とモルガン・スタンレーMUFG証券の判断引き下げが重なったニトリホールディングスは大幅安、東芝やJTも安い。

  • 東証1部の売買高は19億5041万株、売買代金は2兆4420億円
  • 値上がり銘柄数は1513、値下がりは398
最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE