東京外国為替市場ではドルがほぼ全面安。ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁のタカ派発言を受けた前日のユーロ主導によるドル売りの流れが継続し、対ユーロで約1年ぶりの安値を更新。ドル・円相場は前日終値近辺での動きとなった。

  ユーロ・ドル相場は28日午後3時45分現在、前日比0.2%高の1ユーロ=1.1365ドル。前日の高値1.1349ドルを塗り替えると、一時1.1379ドルと昨年6月24日以来の水準までユーロ高・ドル安が進んだ。

  ドル・円は同時刻現在、前日比横ばいの1ドル=112円35銭。米株安を受けて日本株が軟調に推移する中、一時112円03銭まで下落した。ただ、米10年債利回りが前日に約2週間ぶりの2.2%台まで上昇したことが支えとなったほか、ユーロ・円相場が昨年4月1日以来の水準となる127円86銭まで上伸したことも押し上げ要因となった。

  オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)マーケッツ本部外国為替・コモディティー営業部の吉利重毅部長は、「ドラギECB総裁の前向きな発言を受けて、欧米長期債のロング(買い持ち)が巻き戻されたことが為替相場のドライバーになった。これがユーロのショート(売り持ち)の巻き戻しや原油価格の反発にもつながり、ドル・円やクロス円を押し上げた」と前日の動きを説明。「あくまで月末・期末を控えたポジション調整の動きが主体で、長期金利上昇の流れが続くかはインフレの状況を確認しなければ難しい」と言う。7月13日の米生産者物価指数や同14日の米消費者物価指数の発表まで時間があるため、目先は「ドル・円の高値は112円50銭がめどではないか」との見方を示した。

  ドラギECB総裁は27日、ポルトガルのシントラで28日まで開催されている年次のECBフォーラムで「今は全ての兆候がユーロ圏の回復の強さが増し、裾野が広がっていることを指し示している。 デフレ圧力はリフレの力に置き換わった」と発言。「景気回復が続く中で政策姿勢を維持すれば、その政策はより緩和的になる。ECBは回復期において、政策姿勢を引き締めるためではなくほぼ同じ状態に保つために、政策措置のパラメーターを調整することができる」とも述べ、債券購入の縮小を示唆する可能性に含みを持たせた。

  ドイツ証券外国為替営業部の小川和宏ディレクターは、ドラギ総裁の発言について「6月会合からトーンが変わり、緩和度合いを弱めるメッセージを出している」と指摘。「いろいろなことを言っているのでタカ派に見えないかもしれないが、これまでとは目線が違う」とし、ユーロ・ドルについては「1.13ドルを上抜けて目線が上がった。上値は1.14ドルから1.16ドルが目安になる」としている。

  カナダドルは主要16通貨に対して全面高の展開。対米ドルでは一時1ドル=1.3129加ドルと2月27日以来のドル安・加ドル高水準を付けた。カナダ中銀のポロズ総裁がCNBCのインタビューで、2015年に計0.5ポイント利下げし、0.5%となっている政策金利について「異常に低い」水準と指摘。その上で「利下げがその役目を果たしたようにみえる」と述べたことが材料視された。

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