「謎のネットワーク」。英国の作家ル・カレのスパイ小説さながらの響きだ。

  この言葉が突然、香港株式市場に衝撃を与えた。同市場の最暗部に投資家の目を向けさせようとした1人のアクティビストの取り組みが27日に予想外の注目を集めることになった。

  この人物はデービッド・ウェブ氏。彼の存在を無視してきた投資家は、今その代償を払っている。香港取引所の取締役会メンバーだったウェブ氏は6週間前、「謎のネットワーク:保有してはいけない50銘柄」という表題のリポートを発表。これらの企業は株式持ち合いの複雑な網で絡み合い、その結果、バリュエーション(株価評価)が持続不可能な水準に押し上げられていると指摘した。

デービッド・ウェブ氏
デービッド・ウェブ氏
Photographer: Vincent Yu/AP Photo

  香港株式市場では27日、前触れがあったように見えない中で、同氏がリポートで取り上げた小型株の多くが前日比で急落。中には90%余り下げる銘柄も見られた。

  ウェブ氏は2008年に香港取引所の取締役を退任して以来、同取引所を声高に批判し、投資家保護に当局がより力を入れるよう訴えてきた。同氏は27日のインタビューで、「今回の件が真に示しているのは上場企業に対する香港の法・規制制度が抱える問題点だ」と述べた。

ウェブ氏が図で示した「謎のネットワーク」
ウェブ氏が図で示した「謎のネットワーク」
Source: Webb-site.com

  香港証券先物取引委員会(SFC)は何らかの調査を行っているかコメントできないとした上で、同日の下落率が大きかった企業には極端に高いボラティリティーや市場の不正行為を助長しかねない特徴があると指摘。異なる企業間や上場証券会社との間の多重関係や株式保有の集中、出来高や公開株式の少なさなどを共通項として挙げた。

  ウェブ氏が5月にリポートを発表した際、そこで取り上げた企業の株価は小動きにとどまった。しかし27日には、香港株式市場の下落率上位20銘柄のうち17銘柄をリポートで指摘した銘柄が占めた。

原題:‘Enigma Network’ Roils Hong Kong Markets With Sudden 90% Losses(抜粋)

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