経営再建中の東芝は28日午前10時から、千葉市の幕張メッセで定時株主総会を開いた。監査法人から適正意見の付いた決算報告ができず債務超過で2部市場への降格となる一方、上場廃止回避の切り札となるメモリー事業売却も決まらない中での開催で、株主からは厳しい声が相次いだ。

  東芝の綱川智社長は冒頭、「度重なるご迷惑、ご心配をあらためて心からお詫びする」と陳謝。「誠実な経営で再び価値を認めてもらえる東芝を目指す」と述べた。メモリー事業の売却については「優先交渉先は複数あり、意見調整に時間がかかっているようだ」とし、「なるべく早期の契約締結目指す」と話した。

東芝の半導体
東芝の半導体
Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

  質疑応答で株主からは、危機感を持ってほしい、なぜ優良部門の東芝メモリを売るのか、原発事業の巨額損失でトップだった志賀重範元会長の説明が聞きたい、など厳しい声があった。2部降格リスクや今後の株価を懸念する株主もいた。

  総会は午前10時に始まり取締役9人全員の再任など全議案を承認し午後1時過ぎに終了した。東芝広報によると、3時間9分で過去4番目の長さ(3月の臨時総会は約3時間半)。出席株主数は984人と2003年以降で初めて1000人を割り込んだ。質問者数は29人と過去最多だった。

  東芝は23日、2017年3月期(前期)の有価証券報告書について、法定期限の6月末までの提出を断念した。米原発事業の損失処理を巡って監査人との意見が相違し適正意見を得られいない状態で提出期限は8月10日に延長された。適正意見を付した有報ができ次第、臨時株主総会を開いて別途報告する。

米WDへの対応

  東証は23日、東芝の試算値を基に前期末の債務超過状態を認め、8月1日付で2部市場に降格すると発表した。これに伴いインデックス運用などの対象から外れることになる。東芝の株価は過去数カ月の間上昇傾向を示していたが、同日の終値は前日比14%下落した。

  東芝は2期連続の債務超過という上場廃止基準への抵触を避けるため、主力のメモリー事業売却を急ぐ。21日に産業革新機構や米べインキャピタルなどの日米韓連合を優先交渉先に決めたが、詰めの交渉が続いており売却契約には至っていない。合弁相手の米ウエスタンデジタル(WD)の動きも波乱要因として残っている。

  綱川社長は株主総会で、「米WDによるメモリー事業の売却妨害行為は不当に東芝メモリの利益を妨害するもので日米韓連合も理解している」と述べた。成毛康雄副社長(東芝メモリ社長)は「WDの提案は独禁法問題や金額で余り良くなく、噛み合った状況になっていない」などと話した。綱川社長は東芝本体から同事業への出資も検討しているとした。

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