国内の政治問題が日本銀行の金融緩和の為替への効果を台無しにするかもしれない。米連銀が本格的な金融引き締めに向かう中で、日銀のイールドカーブ・コントロールは対ドルでの円の通貨安を支え、海外政治の不確実性が高まる際にも急ピッチな円高を避ける原動力となってきた。しかし、7月2日に控える都議選は、地方選挙ながら安倍政権の内閣支持率が低下する中、アベノミクスへの信認に対する試金石となろう。都議選での自民党の大敗が、経済政策の先行きの不透明性の拡大による市場の混乱から円高につながる可能性もある。

  ブルームバーグ・インテリジェンスでは、日米金利差が拡大する中、2018年末まで緩やかな円安基調が続くとみる。ただし、英国の欧州連合(EU)離脱問題、北朝鮮のミサイル発射などに代表される世界的な政治リスクや地政学リスクの高まりは、一時的な円高への振れにつながるだろう。

  • ブルームバーグ・インテリジェンスでは、日米金利差拡大を背景に、ドル・円は17年末に112.60、18年末に115.10と現在の111円台後半から緩やかな円安になるとの見通しだ。
  • 金融政策の前提条件として、日銀の政策変更は黒田総裁退任まで当面見込まず、米連銀は年内にテーパリングの開始と3度目の利上げ、18年の利上げは少なくとも3回を想定。
  • 円安の障害となるのが、恐怖指数(VIX)に代表される不確実性の上昇だ。円は避難通貨としてリスクオフ時(VIX上昇時)に買われる傾向がある。
  • VIXは現在、過去最低水準の10%前後から、18年11月の米中間選挙を前に過去平均水準の20%程度まで上昇するとの前提に立つ。
  • ブルームバーグ・インテリジェンスの推計では、VIXが1ポイント上昇すると0.13%程度の円高要因となる。従って、VIX上昇が金利差拡大による円安のペースを緩和する。
  • 6月時点での主要報道機関11社の安倍内閣支持率の平均値は44.6%と昨年3月以来の水準に低下している。
  • 仮に、都議選で自民党が大敗し、国政選挙への影響が懸念され、経済政策への不確実性が高まるような事態の中、株安につながれば、連想からの円買いによる円高リスクもあるだろう。

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JAPAN INSIGHT: Abe Support, BOJ Pull Yen in Opposite Directions

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