企業幹部は報酬を受け取り過ぎている。恥を知るべきだ。こう考える投資家に欧州最大級の年金ファンドが加勢した。

  運用資産が約1120億ドル(約12兆5000億円)に上るデンマークATPは、同国のビールメーカー、カールスバーグが今年3月に開いた年次株主総会で異議を唱えた。同社が2016年の報酬としてセースト・ハート最高経営責任者(CEO)に支払う3600万デンマーク・クローネ(約6億円)を過剰だと判断したためで、変動部分の比率を増やすように抵抗した。会社側の報酬提案は最終的に取締役会で承認されたものの、ATPは明確なシグナルを送った。

デンマークATPのクリスチャン・ヒルダールCEO
デンマークATPのクリスチャン・ヒルダールCEO
Source: ATP

  今年1月からATPを率いるデンマーク人のクリスチャン・ヒルダール最高経営責任者(CEO)は、持続不可能な報酬文化に風穴を開けるため、自らの業務を活用したいと話す。強欲なCEOらが民主主義と資本主義を危険にさらしていると批判した。

  ヒルダールCEO(52)はインタビューで「CEOの報酬が増加の一途をたどっているのに、従業員の賃金上昇が極めて小幅だったり、昇給が何もなかったりしているのはなぜなのか」と問い掛け、「そこにはリーダーシップの大きな問題がある。CEOらは自省するべきだ」と続けた。

  ATPは年初から6月21日まで、およそ650の報酬提案の30%に反対した。このうち米企業での反対は54%に上った。

  ヒルダールCEOは、米英企業は北欧の報酬文化に学べるだろうと指摘。北欧は高税率だが経済は安定し、所得の分配で最も平等な社会とされ、経済協力開発機構(OECD)のランキングでもデンマーク、ノルウェー、アイスランドは先進国のうち所得格差が最も小さい。ブルームバーグがまとめたデータによると、平均的な従業員の給与に対し、CEOの給与はデンマークで82倍前後。それが米国ではおよそ300倍に上る。

  ヒルダールCEOは投資先企業の報酬に反対だからと言って投資を撤退するより、株主として残って闘う方が強い力を発揮できるとの見方を示す。企業の過剰な幹部報酬を抑制しようと努める影響力のあるファンドは他にもあり、運用資産9600億ドルで世界最大の政府系ファンドであるノルウェーの政府年金基金グローバルは4月、CEOの株式報酬受け取りを10年後とするよう提案。英国取締役協会は幹部報酬抑制に向け、投資家により強い権限を付与するよう政府に要望した。

原題:A $112 Billion Fund Wants to Stop CEOs Making Too Much Money(抜粋)

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