東芝のメモリー事業売却で、売却先との正式契約が遅れる可能性があることが分かった。東芝は28日開催の定時株主総会前の締結を目指しているが、産業革新機構や米投資ファンドで構成する日米韓連合による資産査定が現在も続いているもようだ。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。

  交渉が非公開であることから匿名を条件に語った関係者の1人は、革新機構や日本政策投資銀行の出資などを軸とする同連合の買収案は、審査に時間のかかる独禁法上の障害も少ないとし、3月末までの払い込み完了の見通しが立てば、必ずしも契約を急ぐ必要はないとの認識を示した。東芝は合弁相手で売却に反対している米ウエスタンデジタル(WD)合流の余地も探っている。

  東芝は4月に分社した東芝メモリの売却手続きで、21日に日米韓連合を優先交渉先に決め、売却契約の締結を急いでいる。上場廃止となる2期連続の債務超過を回避するため、出資構成や比率などで詰めの交渉を進めている。

  また別の関係者は、WDの動向次第で買収の枠組みが変わる可能性も依然残されており、契約締結は遅ければ、9月ごろまでずれ込む可能性もあるとの認識を示した。WDは米裁判所に売却差し止めを請求したが、東芝の綱川社長は、これまでの協力関係もあり係争関係は避けたいとの意向を明らかにしている。

  東芝広報担当の平木香織氏は、契約締結の予定に変更はないと述べた。綱川智社長は23日の会見で「28日までの最終合意は可能」との考えを示している。

米WD、韓国SKの連合参加に抗議

  こうした中、東芝が革新機構などの日米韓連合を優先交渉先に決めたことに対し、米WDが東芝側に抗議文を送ったことが26日、分かった。競争相手の韓国半導体大手SKハイニックスが革新機構の陣営に加わることを特に問題視。資金提供のみで参加するとは考えられないなどと指摘した。

  優先交渉先は革新機構のほか、米投資ファンドのベインキャピタル、政投銀を中心とした日米韓の企業などからなる連合で、革新機構や政投銀による株式での出資など総額約2兆円の買収案を提示している。東芝の説明によると、ハイニックスや三菱UFJフィナンシャル・グループは融資で加わる計画。

  ミリガンCEOの書簡によると、WDはまだ東芝メモリの買収をあきらめておらず、東芝が最終的に公平な判断を下すことを願っているとした。東芝メモリとハイニックスは、それぞれ同種の半導体であるNAND型フラッシュメモリーを製造している。

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