長年のインフレパターンは過去と決別するプロセスにあるのかもしれない。

  国際決済銀行(BIS)は年次報告書で、労働市場が改善し未利用資源が減る世界的な現象を軽視すべきでないと指摘した。スラック(たるみ)と価格形成の関係だけがかなり長い間にわたりとらえ所のない状態であることが分かったと分析した。

  主要経済機関はグローバル化や技術の変化、構造的な環境が労働者の交渉力や企業の価格決定力を妨げ、過去のような賃金・物価スパイラルの可能性を低下させていると相次ぎ主張しており、BISの報告書もその1つとなった。

  BISは「世界の労働市場は過去数十年に重大な変化を見せ、賃金と価格形成に重要な影響をもたらした」と指摘。「こうした展開によってインフレと労働市場のスラックとの関係が非常に弱まったため、労働市場の最近の引き締まりがインフレの行き過ぎリスクをほとんど突き付けていないのかどうかが多くの中央銀行にとって問題だ」と論じた。

Source: BIS
Source: BIS

  BISはインフレ急伸を排除できないとしながらも、中銀が物価高騰に対応して決然たる引き締めを実施してリセッション(景気後退)を引き起こしがちだった過去とは異なり、景気回復を脅かす主要な要因ではない可能性もあると判断。より大きなリスクは金融サイクルの破綻だとした。

  こうした状況は政策当局者にジレンマを生み出している。BISは「インフレ率が上がらなくとも、長期にわたり金利を低過ぎる水準に維持すれば、金融安定とマクロ経済のリスクを将来的に高めかねない。債務は引き続き累積し、金融市場のリスクテークは勢いを増すことになる」とし、「政策当局がこうしたトレードオフの関係にどう対処するかが持続可能な景気拡大見通しに極めて重要になる」と論じた。

原題:Inflation Has More Than One Reason to Surge, Only It Won’t(抜粋)

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