新しい消費関連統計が花盛り、ビッグデータ活用が今後の鍵

  • 個人消費、政府統計より強い可能性ある-ナウキャストの広瀬氏
  • 総務省も新指標、来年から消費動向指数(CTI)を公表開始予定

経済統計改革の必要性が叫ばれる中、新しい指標が続々と開発されている。課題となるのは、国内総生産(GDP)の約6割を占める個人消費の正確な実態把握だ。

  1-3月期の実質GDPは、約11年ぶりとなる5四半期連続のプラス成長となったが、外需依存の構造は変わらず、個人消費が本格的な回復軌道に乗っているか疑問が残る。消費回復の持続性は、2019年10月に予定されている消費増税の行方も左右しそうだ。

  統計改善の鍵となるのは、ビッグデータの活用と速報性の向上だ。東京大学発ベンチャーのナウキャストは、クレジット会社大手JCBと、ビッグデータを活用した新指標「JCB消費NOW」を共同開発し、先月から公開し始めた。

  情報提供に同意したJCBグループ会員の属性や決済情報を個人が特定できないよう統計化し、総合、外食、ファミリーレストラン、イー・コマース(電子商取引)消費など、6種類の指数を提供する。データを集計して15営業日で月2回配信するため、これまでのアンケートをベースとした消費統計と比べ速報性が大幅に向上している。対象データのサンプルは数万人程度。

  ナウキャストの取締役チーフ・ストラテジー・オフィサーの広瀬健氏は、既存の政府統計に比べ、「外食やガソリンなど、消費者の日常的な消費行動は、よりセンシティブに捉えられる思う」と述べた。また、「政府統計はイー・コマース消費を十分に捕捉できていないので、個人消費の実態は、政府統計が示すよりも強い可能性がある」と指摘。

  総務省統計局の「家計消費状況調査」によると、2人以上の世帯におけるネットショッピングを利用した世帯の割合は、同調査が始まった02年には5.3%だったが、16年に27.8%と5倍以上となっている。

  ナウキャストでは、スーパーの販売時点情報管理(POS)データなどを使い、日次物価指数や政府公表の消費者物価指数(CPI)の予想も提供している。また、人工衛星から送られてくる画像の光量データを使いGDP予測値を算出する技術を開発した。

  統計改革の議論は、15年秋に麻生太郎財務相が経済財政諮問会議で行った問題提起がきっかけだ。家計調査に供給側の商業動態統計との乖離(かいり)があることなどを指摘し、経済情勢を的確に判断するためには基礎統計の充実が必要だと見直しを求めた。

  一方、日本銀行は、個人消費の動向を迅速かつ包括的に把握するための新しい指標として「消費活動指数」を作成し、昨年5月から公表を始めた。指数は、商業動態統計や第3次産業活動指数に含まれる個別統計に、自動車販売など一部の業界統計も統合して作成。速報性があり、包括的で、振れが小さく精度が高いのが特徴という。

  総務省統計局は、18年1月分から、消費を包括的にとらえる新たな指標として「消費動向指数(CTI)」を公表する。「家計調査」や「家計消費状況調査」などの既存統計や8月から開始予定の「家計消費単身モニター調査」などいくつかのデータを組み合わせて消費全般の動向をマクロ・ミクロの両面からとらえる。民間のビッグデータも順次、活用して速報性を強化していく予定だ。

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