日本銀行の審議委員を務めた須田美矢子氏(69)は、金融政策決定会合で反対の立場を貫いた2審議委員が7月に任期満了を迎えることを受け、黒田東彦総裁のかじ取りを誤らせる危険性があると話した。

  須田氏は19日のインタビューで、審議委員が同じような考えを持つと「かえって大きく間違うということがあり得る」と指摘。多様な意見を取り入れることで「時間はかかるが、決めたら大きく間違えない」という政策委員会の利点を強調し、少数意見も「聞く耳を持っていると方向転換が楽」だと話した。

  政策委員会で異次元緩和の副作用を訴え、反対票を投じてきた木内登英氏と佐藤健裕氏の任期は7月23日に満了する。後任は三菱UFJリサーチ&コンサルティング経済政策部上席主任研究員の片岡剛士氏と三菱東京UFJ銀行取締役常勤監査等委員の鈴木人司氏。片岡氏は金融緩和に積極的なリフレ派として知られ、総裁を含めた9人の政策委員すべてが安倍晋三政権で任命された顔ぶれとなる。

  須田氏は片岡氏と鈴木氏の任命について、副作用を無視し「金融緩和をちゃんと続けてくれる人さえ集まればいい」という印象を持ったという。従来の政策委員会でも少数派が蚊帳の外におかれ、木内氏と佐藤氏が指摘した出口時点のコストなど異次元緩和の問題点を「共有しているようにはみえない」と述べた。

  須田氏自身も2011年まで10年間、審議委員を務め、執行部の提案に反対票を投じてきた。米同時多発テロやリーマン・ショック、東日本大震災などの危機に対し、速水優氏、福井俊彦氏、白川方明氏の3代の総裁と共に議論を重ねた。現在はキヤノングローバル戦略研究所特別顧問を務める。

  日銀広報課は須田氏の見解について、回答を控えるとしている。

批判は当然

  黒田総裁の就任から4年が経過したが、日銀の資産規模は500兆円を超え、日本の経済規模に迫る勢いで拡大している。物価上昇率が目標の2%を達成した後の出口では、金融機関への支払金利が国債の利回り収入を上回る「逆ざや」となり、日銀が巨額の損失を被ることから債務超過に陥るとの試算も出ている。

  金融緩和の出口戦略についての説明と対話を求める声があるが、黒田総裁は16日の会見で現時点での試算公表は混乱を招くとした上で、赤字の場合も通貨発行益があるため信認が失われることはないと説明した。原田泰審議委員は1日の会見で、日銀の債務超過に問題はなく、資本注入の必要もないと語った。

  須田氏は日銀に損失が出た場合、国庫納付金が減少するため、批判が出るのは当然だと指摘。日銀と市場の対話が難しい理由として、物価の見通しの違いを挙げた。4月発表の展望リポートによると、日銀は17年度の消費者物価指数(生鮮食品を除く)は1.4%、18年度に1.7%に到達するとみているが、ブルームバーグの民間エコノミストの調査では17年度0.7%、18年度0.8%にとどまる。

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