東証1部の時価総額は約2年ぶりの600兆円乗せが目前だ。日本経済や企業業績などファンダメンタルズの改善が評価されているほか、需給面からは長期に及ぶ量的金融緩和策の効果でリスクマネーが株式市場に流れ込んでいる。市場では大台回復を通過点と捉える声がある半面、限界論もささやかれる。

  三菱UFJ国際投信の石金淳チーフストラテジストは、日本の国内総生産(GDP)拡大が東証1部時価総額の増大を後押しすると予想。「政策は成長重視に転換している。好調な企業業績をドライバーに時価総額の増大が続き、気がつけば、600兆円を優に超えていたという話になろう」とみている。

  東証1部の時価総額は20日午前に一時約598兆円に達した。600兆円を回復すれば、2015年8月以来となる。ドル・円相場が1ドル=125円台だった当時と比べると、10円以上ドル安・円高となっているが、米国を中心とする世界的な景気拡大と株高で投資家のリスク選好が高まっている上、日本企業の収益力向上などが評価されている。みずほ証券によると、東証1部上場企業(除く金融)の2017年度の経常利益計画は前期比4.4%増の37兆7710億円、全体の68%が増益を見込む。

株価ボードイメージ画像
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Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  ケイ・アセットの平野憲一代表は、時価総額600兆円は単なる通過点との認識だ。株価は最終的に需給で決まるとし、「日本銀行の通貨供給量が増える一方、企業側は自社株買いなどで株式のスリム化を進めており、株価は明らかに上がる方向」と指摘する。600兆円の壁を抜ければ、「個人投資家などの待機資金が市場に戻り、上の方向に爆発する可能性がある」と同氏は予測した。

  日本銀行のマネーストック統計によると、現金や銀行預金などを示すM3は5月末時点で1297兆6000億円と過去最高を更新。東証1部時価総額が過去最高を記録した15年8月時点の1229兆円と比べ、5%強拡大している。「日銀は量的緩和の手を全く緩める気はないとみられ、まだまだ増えていくお金の量が将来的な大相場を演出する」というのが平野氏の見立てだ。

  一方、みずほ証券投資情報部の中村克彦シニアテクニカルアナリストは、1部時価総額は目先620兆円前後で頭打ちし、500兆ー600兆円のレンジ相場に戻るとみている。「世界の株式時価総額約8000兆円に対する日本のシェアは7ー9%で推移し、このシェアはほとんど変わっていない」と指摘。為替が1ドル=120円、125円と一段の円安水準に振れない限り、業績拡大期待は盛り上がらず、「全体の底上げは望み薄。650兆円、700兆円という世界は難しい」と中村氏は言う。

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