バンカー就職事情変わる-「ロンドンで駄目なら香港目指せ」は昔の話

  • 金融業界の求人採用でかつて4割占めた欧米豪出身者、現在は15%
  • シティグループが香港で来年採用予定の新卒者、過半数が中国人学生

アンドルー・サリバン氏は、金融業界の職を目当てに若い英国人が香港に渡ってきた日々を思い出す。

  サリバン氏自身もそうだったからだ。ロンドンの金融街シティーでは履歴書の選考が通らず、中国返還目前の1996年に香港にやって来た。自らの職歴は空軍のパイロットと測量士。金融業界での経験は全くなかった。それでも到着後ほどなくして、株式アナリストとして採用が決まった。

  「完璧な履歴書など必要なかった」と現在55歳のサリバン氏は回想する。必要なのは、度胸とビジネスを追い求めようという意思だけだったと述懐した。

アンドルー・サリバン氏

Photographer: Paul Yeung/Bloomberg

  長年にわたり、「ロンドンで駄目なら香港を目指せ」と甘い考えで香港に渡って来る英国人は現地市民の間で冷笑の対象だった。英国人ならシティーでの勤務経験がなくても良い職にありつけ、きらびやかな会員制クラブに入会したり、夜景を一望できる高級ホテルで食事を楽しんだりすることが可能だったからだ。

  だが、そんな時代は過ぎ去った。人材紹介会社ロバート・ウォルターズで香港銀行業界を担当するジョン・ムラリー氏によると、2010年まで自らが紹介する金融業界の職の40%は英国やその他欧州、米国、オーストラリアの出身者が手にしていた。今ではその割合は15%でしかない。

  同氏は「15年前なら即座に仕事が決まっていたシニアバンカーが週間ベースで相当数応募してくるが、現在はかなり厳しい状況だ」と話す。英国の返還から20年がたち、香港にとっての重要度が中国本土に傾くにつれ、中国語が話せなかったり中国本土に人脈がなかったりすれば、経験豊かなバンカーであっても就職や雇用の維持がますます苦しくなりつつある。

  シティグループのアジア太平洋人材採用責任者を務めるジェームズ・メンデス氏によると、同行が香港で正社員として来年採用を予定する新卒者の過半数は中国人学生だ。JPモルガン・チェースは過去2年間、香港のフルタイム新卒やインターン採用で現地大学出身者の割合が40%を超えており、この数字は今後上昇すると同行では見込んでいる。
 
原題:‘Failed in London, Try Hong Kong’ Fades as China Beckons (1)(抜粋)

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