輸出から輸入を差し引いた5月の貿易収支(速報)は、市場予想に反し4カ月ぶりの赤字となった。液化天然ガスや石炭など燃料価格の高騰で輸入が大幅に増加し、輸出を上回った。

キーポイント


  • 貿易収支は2034億円の赤字(ブルームバーグ調査の予想中央値は433億円の黒字)-前月は4811億円の黒字
  • 輸出は前年同月比14.9%増の5兆8514億円と6カ月連続増加-前月は6兆3294億円
  • 輸出数量指数は7.5%増と4カ月連続の増加
  • 輸入は同17.8%増の6兆547億円と5カ月連続の増加-前月は5兆8483億円

背景

  日本銀行は金融政策の維持を決定した16日の金融政策決定会合で、好調な海外経済を背景に輸出は「増加基調にある」との見解を示した。先行きも「緩やかな増加を続ける」とみている。海外経済は懸念材料にもなっており、日銀はリスク要因として米国の経済政策運営や金融市場への影響、新興国の経済動向などを挙げた。

  為替相場は米国の14日の金利引き上げや堅調な経済指標による日米金利差の拡大を意識し、決定会合前には1ドル=111円台と2週間ぶりの高値を更新。午後には黒田東彦総裁が出口に対する対話で慎重な姿勢を示し、一時111円38銭まで売られた。今後も円安水準が続けば輸出にプラスに働くが、トランプ米政権の政策運営や北朝鮮など地政学的リスクへの懸念もくすぶっている。

  政府は5月の月例経済報告で、「持ち直している」とした輸出の基調判断を維持した。景気についても「一部に改善の遅れもみられるが、緩やかな回復基調が続いている」との判断を据え置いた。今回の統計では、欧米向けを中心に自動車輸出が好調だったほか、アジア向けの鉄鋼も増加に寄与した。

エコノミストの見方

  • 農林中金総合研究所主席研究員の南武志氏は電話取材で、貿易赤字について「深読みする必要はない。輸入が増加したことによるもので景気の底堅さを示している」と述べた。堅調な輸出により、日本銀行は「緩やかな回復が継続するという見方を維持するだろう」とみている。
  • 明治安田生命保険の小玉祐一チーフエコノミストは電話取材で、輸出数量が4カ月連続の増加となったことを受け、「日本経済のけん引役が外需であることを改めて示した」と分析。米や欧州、中国で景気が回復に向かっており、「輸出の伸びに貢献している」と説明した。

詳細

  • 輸出はゴールデンウイークで抑制も、去年の熊本地震の反動増が上回る
  • 輸入はカタールを中心に液化天然ガスが前年比68.6%増-米国からのシェールガスも押し上げ
  • 原油輸入は前年比で金額17%増、数量13.5%減
  • 中国からの石炭輸入は前年比で438.2%増、サイクロンの影響でオーストラリアからの調達困難に
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