東京外国為替市場ではドル・円相場が1ドル=111円台を回復した。米国の堅調な経済指標を手掛かりにドル高・円安が進んだ海外市場の流れが継続。午後には日本銀行の黒田東彦総裁が出口に関する対話で慎重な姿勢を示したことを受けて、2週間ぶり高値を更新した。

  16日午後4時56分現在のドル・円は前日比0.2%高の111円20銭。111円ちょうど手前で東京市場を迎えた後、午前9時ごろには111円台前半までドル買い・円売りが進み、正午前に日銀決定会合の結果が発表されると111円27銭まで上昇した。高止まりの状態がしばらく続いた後、黒田総裁の会見が始まった午後3時半すぎには一時111円38銭を付けた。

  みずほ証券の鈴木健吾チーフFXストラテジストは、「FRB(米連邦準備制度理事会)のタカ派姿勢とアンバランスなぐらいドルが売られていたところもあり、来週からドルの材料が乏しくなる中で、いったんドルショート勢が撤退しているイメージだ」と説明。「日銀も引き続きそれほど出口を急いでなさそうだ」と話した。

  黒田総裁は会見で、出口戦略に向けたシミュレーションについて、現時点で出口の収益を具体的な数字で示すのは適当でないと述べた。ノムラ・インターナショナルのシニアFXストラテジスト、後藤祐二郎氏(ロンドン在勤)は、「出口戦略に関するコミュニケーションが若干タカ派的になるとの期待、懸念もマーケットでゼロではない」とし、総裁会見で物価目標達成にはまだかなり遠く、出口戦略になかなか踏み出せないことを明確にすると「若干また円が売られることはあり得る」と予想していた。

  日銀はこの日の金融政策決定会合で、昨年9月に導入した長短金利操作付き量的・質的金融緩和の枠組みによる金融調節方針の維持を決定。結果は予想通りで、長期国債買い入れ(保有残高の年間増加額)のめどである「約80兆円」も維持した。

  ブルームバーグ・データによると、円はほぼ全面安。オーストラリアドル・円相場は5月2日以来の豪ドル高・円安水準を付け、ユーロ・円相場は1ユーロ=124円22銭と今月6日以来の水準までユーロ高・円安が進んだ。

  ポンド・円相場は1週間ぶりとなる1ポンド=142円台までポンド高・円安が進行。イングランド銀行(BOE)が政策金利の据え置きを決めた前日の金融政策委員会(MPC)では、利上げを主張する委員が1人から3人に増えた。

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