トランプ米大統領の金融規制緩和が同大統領の思い通りに進めば、資本の最低要件が引き下げられ巨額の資金を銀行が自由に使えるようになる。しかしその使い道は明白ではない。

  トランプ政権は今週、銀行規制見直しに関する報告書を公表。ウォール街はその検証・分析に余念がない。ゴールドマン・サックス・グループは同社を除いた大手5銀行の資本の余剰分が960億ドル(約10兆6000億円)になると試算。バンク・オブ・アメリカ(BOA)は最大で2兆ドルが追加で融資に回ると見積もった。

  しかしこの資金は本当に融資に回るのだろうか。トランプ大統領は住宅購入者や中小企業、事業拡大を目指す企業への融資を増やすことで銀行が余った資本を経済に還元することを望んでいる。一方、資金は株主に還元されるとの見方もある。クレディ・スイス・グループのアナリストらは緩和の内容を予想した5月24日のリポートで、ストレステスト(健全性審査)が緩やかになることが想定されるとし、その場合銀行の増配の余地が生じると指摘した。

  調査会社ビオラ・リスク・アドバイザーズの創業者、デービッド・ヘンドラー氏は銀行について「何よりもまず、株主を大切にする組織体だ」とコメントした。

  融資を受ける資格のある借り手は既に十分な資金にアクセスでき、それ以上を必要とはしていないという問題もある。また、クレジットカード・ローンや自動車ローンの延滞は既に増え始めている。大手銀の一部は消費者にとって借り入れが容易過ぎ、銀行にとっては焦げ付きのリスクが増しているのではないかとの懸念をここ数週間に示している。

  JPモルガン・チェースの消費者向け銀行責任者のゴードン・スミス氏によると、同行は自動車ローンを制限し始めた。「私の見解では、今は融資基準を緩めるべき時ではない。業界は厳密に与信を管理すべきポイントにある」と話した。

原題:If Trump Unlocks $2 Trillion at Banks, Here’s Who May Get It(抜粋)

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