中国の資産家はまたしても学びつつある。富と権力を持っていても、トラブルに巻き込まれないためにもはや十分でない。

  同国の保険会社、安邦保険集団は呉小暉会長が個人的な理由で職務を遂行できないと発表した。呉会長は中国で最も海外企業の買収に積極的な人物の1人と目されている。ビジネス分野で評価の高い財経誌は、同会長が事情聴取のため当局に連行されたと報じた。

  今回の件は習近平国家主席の下の中国の現実を示す新たな例だ。資金やコネクションの有無にかかわらず、ほぼ誰もがいつでも当局に引っ張られる恐れがある。習氏が共産党総書記に就いた2012年以降、腐敗や金融犯罪その他不正の疑いで聴取を理由に多数が拘束され、資産家や党幹部も追及を免れることはなかった。

  呉会長が不正を犯したかどうかは、はっきりとしない。しかし同会長の謎の不在は、中国で既に毛沢東以来最も強力な指導者の1人となった習主席の権力をさらに強化する方向に働く。一方で、指導部人事が行われる共産党大会を数カ月後に控えて、習主席に対する不満を高めるリスクもある。

  歴史学者の章立凡氏は「こうした資産家は新興財閥のようなもので、習主席は党指導部人事を前に彼らをコントロールすることで政敵に不利な証拠を押さえる機会を得る」と分析。その上で、「習主席のライバルが反感を募らせるほか、共産党の正統性に対する逆風となるリスクがある」と指摘した。

原題:Anbang Shows Billionaires Should Be Nervous in Xi’s New China(抜粋)

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