東京電力ホールディングスが今週発行した社債に投資家の人気が集まっている。福島第一原発事故を受け発行が途絶えた後、3月に起債再開した当時と比べて、表面利率が低下した。

  送配電子会社の東京電力パワーグリッド(PG)は今週、3月の起債再開後2回目となる社債を発行。発行条件は改善し、5年債の表面利率は0.52%と前回に比べ6ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下した。また今回は新たに7年債(前回は3年債)も発行した。

  東電PG債の発行条件が良くなった背景には、原発事故に伴う賠償や廃炉などの費用負担15兆9000億円を政府支援の下でうまく賄えるとの市場の思惑がある。バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチのデータによれば、3月の東電PG債は発行時に比べスプレッドが12bpも低下。同じ期間に日本企業の社債平均スプレッドが4bp低下したのに比べて、信用力はより改善したことになるが、それでもスプレッドは他の日本企業よりも妙味のある水準を保っている。

  BNPパリバ証券チーフクレジットアナリストの中空麻奈氏は、東電PG債について「今は国がバックアップをするという一言で買える銘柄だと思っている」と指摘。「地方の投資家や地銀を含め、いろいろな投資家が東京電力の社債を買うことに対するアレルギーをなくしてきている感じだ」と述べた。

  大和証券チーフクレジットアナリストの大橋俊安氏は、「もちろん東京電力は事故を起こした会社で、多額の費用負担を抱えている」としながらも、「根底には電力会社の社債の安心度というものがあると思う」と話した。

一時は利回り10%も

  一方、ニッセイ基礎研究所の徳島勝幸年金研究部長は、「今回は5年債と7年債なので、償還に関してはそれほど心配はなく、基本は買いだ」とする半面、「全面的に自信をもって100%どんどん買うべきだ、とは言えない」と話した。

  11年3月の東日本大震災に伴う原発事故発生で、東電HDは信用力が悪化。新発債の発行ができなくなったほか、既発債(20年2月償還)利回りは同年11月には約10%に跳ね上がっていた。

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