経営再建中の東芝のメモリー事業の売却手続きで、買収先候補である米投資ファンドのKKRベインキャピタルが日本政府からの支援を取り付けようと競い合っている。東芝は15日、経営会議を開き、他の陣営からも含めた買収提案を協議する。事情に詳しい関係者が明らかにした。

  KKRとベインは、有力な買い手側候補の軸と位置づけられる産業革新機構、日本政策投資銀行との連携の方法などを模索している。東芝の売却先決定には、日本政府から事実上の承認が要不可欠とみているためだ。東芝と半導体事業で合弁している米ウエスタンデジタル(WD)も政府系機関2社との協議に参加している。

  現時点では革新機構を核とする陣営が、売却先候補となっているどのグループとどのように連携するのか固まっていない。米半導体のブロードコムは、東芝のメモリー事業の買収額として、これら米ファンド2社の提案を上回る2兆2000億円を提示している。ただWDの抵抗が障害になる可能性もある。

  東芝は米原発事業で発生した巨額損失で陥った債務超過を解消するため、4月に分社した東芝メモリの売却を急いでいるが、残された時間は少ない。2018年3月期末も債務超過が続けば、東京証券取引所の基準で上場廃止になるためだ。同種の半導体メーカーへの売却も独占禁止法の観点から時間的な障害になる公算がある。

  東芝は15日に経営会議を開催し、稼ぎ頭であるメモリ事業の売却手続きなどについて協議する。東芝メモリはフラッシュメモリの生産で世界第2位。スーパーコンピューターからiPhone(アイフォーン)までさまざまな機器の情報記憶装置として使われている。

  東芝にコメントを求めたが、いまのところ返答はない。ベインの広報担当者はコメントを差し控えた。KKRの同担当者にも連絡を試みたが、まだ回答は得られていない。

米WDの抵抗

  東芝メモリ売却手続きは5月19日に2次入札が締め切られ、米投資ファンドのKKR、米半導体のブロードコムが有力候補に浮上。他に台湾の鴻海精密工業、米ファンドのベインの4陣営が応札した。革新機構や政投銀がKKRと組むことなどを模索していたが、WDとの対立が障害になっている。

  WDは先週、スティーブ・ミリガン最高経営責任者(CEO)が来日、他社への売却は合弁契約違反だとして東芝側と論争を続けたが、15日までに大幅な譲歩を含む新たな買収提案を示す考えを示している。関係者によれば、株式での出資を断念するほか、革新機構を軸とする日米連合としての買収額を2兆円に引き上げる方針だ。

  こうした中、WDは14日、東芝との合弁事業の持ち分を東芝が他者に譲渡するのを阻止するため、サンフランシスコのカリフォルニア州地裁に差し止めを請求した。東芝広報の平木香織氏は訴状を受け取っていないとしてコメントを差し控えたが、「メモリー事業の売却先を6月後半までに決定し、28日までに正式締結する方向で進めている」と述べた。

  東芝メモリ売却手続きでは、独禁法審査の問題のほか、日本政府は中国などへの技術流出を懸念し、外国為替および外国貿易法(外為法)の適用もちらつかせている。鴻海は中国で工場を運営している。

  東芝の15日の株価は一時前日比5.8%安まで下落したが、その後切り返して1%高の316.5円で取引を終了した。

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