BNPパリバは日本で株式とクレジット分析を統合、来年1月から欧州で施行される第2次金融商品市場指令(MiFID2)を前に、共同でリポートを発行するなど投資調査の質を向上させる方針だ。

  BNPパリバ証券グローバルマーケット統括本部の中空麻奈投資調査本部長はブルームバーグ・ニュースの取材で、これまでは別々だった株式とクレジット分析チームを統合、12人からなる投資調査本部に再編したことを明らかにした。今後、多角的な観点から付加価値の高いリサーチを提供していくという。

  パリに本拠を置く同社が、株式とクレジットを軸にストラテジー、マクロ、クオンツの観点を含めた包括的なレポートを発行するのは日本が初めて。欧州連合(EU)の金融・資本市場の規制であるMiFID2では、透明性の向上を目指してリサーチ費用を分離し、トレーディングに支払うコミッションと区別することが求められていて、調査の質向上と他社との差別化が課題となっている。

  中空本部長は、MiFID2を契機として機関投資家はリサーチが有益かどうか精査しているとした上で、BNPパリバの「既存のリサーチは十分にワークしていない可能性がある」と述べた。「日々変化している市場環境において、多角的な視点から付加価値の高いリサーチが、客観的で質の高い投資判断に必要になるだろう」と語った。  

7人のアナリスト 

  株式とクレジットの共同レポートでは、例えばある日本のテクノロジー企業について、リストラが順調に行われているためクレジットレーティングの格上げが期待できるが、株価には割高感があるため、株式よりも債券投資が合理的であることを示唆する内容になっている。

  また、今後はクレジットアナリストが株の投資家を訪問したり、株式アナリストが債券投資家に説明をするなどしていくという。中空本部長によれば、株と債券の両方に投資する機関投資家は増えつつあるという。中空氏は2017年の日経ヴェリタスのアナリストランキングで、クレジット部門で2位。

  共同レポート作成にあたっては銀行、テクノロジー、半導体、中小型セクターの4人の株式アナリストとクレジットアナリスト1人、ストラテジスト2人の計7人が機動的にミーティングを開き重要なテーマについて話し合う。中空氏によれば、会議参加者は3つ以上のテーマを用意して出席することが求められているという。

外資、国内勢の動き  

  大和証券グループ本社はMiFID2を控え、日本株調査を強化する計画だ。中田誠司社長は5月のブルームバーグとのインタビューで、即戦力となるシニアアナリストの外部からの起用や、社内でのジュニアの育成などにより、アナリストランキングで上位3社に入る体制を今後2、3年かけて構築する方針を明らかにした。

  米シティグループは、この1年でシニアアナリスト3人を起用、これにより日本株のカバレッジ数は280銘柄以上に増加した。

  三菱UFJモルガン・スタンレー証券ではリサーチやセールスの幹部らが渡英している。塩原邦彦エクイティリサーチ部長によれば、同氏は5月下旬、ロンドンとエジンバラで機関投資家と面談、自社の調査レポートの優越性について説明した。同社は昨年10月、自動車産業分野でビッグデータを使った独自の長期的視点に立った調査リポートを初めて発行。日本や米国、欧州での100万件超の特許情報をクラスター分析、10年後に特定の技術分野で競争優位に立つ企業を探るなど、長期的に業界動向を予測している。

  中空本部長は、「投資家もバリューが付加されたリポートの方がいい」と述べ、「スキャンダルが起きたときにマーケットはどう動くのか、為替が動いた時に感応度の高い企業はどこなのか」など、そうした事象に言及するリポートが投資家の意思決定において重要だと語った。

英語記事: BNP Paribas to Combine Japan Research Before EU Rules Bite (1)

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