中国の保険会社、安邦保険集団は14日、呉小暉会長が個人的な理由で職務を遂行できないと発表した。同社はニューヨークの高級ホテル「ウォルドーフ・アストリア」を手に入れるなど派手な買収を行ってきた。中国メディアは同会長が事情聴取のため連行されたと報じた。

  北京に本社を置く安邦はウェブサイトに、他の複数の上級幹部が呉会長の職務を引き継ぐ権限を与えられ、業務は正常に行われているとの発表文を掲載した。中国誌「財経」は13日遅く、事情に詳しい複数の関係者を引用し、呉会長が9日に中国当局に連行されたと報道。記事はその後、同誌ウェブサイトから削除された。

呉会長

呉会長

Photographer: Qilai Shen/Bloomberg

  安邦は海外企業の買収に最も積極的な中国企業の一つだが、その所有権や資金調達については疑問の声も上がっている。今回の突然の表明は、金融リスクを高める行為に対する規制を中国当局が強化する中で行われた。呉会長は買収に際して投資銀行を起用せず、自ら交渉に当たってきており、その機先を制した買収提案の手法や既定の取引への妨害を指摘されていた。

  中国保険監督管理委員会(保監会)は保険業界に対する規制を強化し、高リスク商品の販売抑制や保険会社による上場企業買収に制限を設ける措置を導入してきた。こうした中で安邦による買収は今年に入って目立って減少している。当局は5月、規則をすり抜け、市場秩序を乱す商品が見つかったとして、安邦の生命保険部門に対し、新商品の申請を3カ月間禁止する決定を下した。

  財経誌によると、保監会の当局者が安邦の社員数人のグループと10日に面談したが、保監会は会長連行の特別の理由は示さなかった。呉会長が当局の調査に協力しているかどうかは、はっきりしないとした財経誌の記事はその後、同誌のウェブサイトから削除された。財経にコメントを求め、北京時間の通常業務開始前に電話と電子メールで取材を試みたが、現時点で返答はない。

  事情に詳しい関係者1人はサウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)紙に対し、呉会長はこれまで、「関連する調査に手を貸し」、聴取を数時間受けた後に会社や自宅に毎回戻っていたと話した。ただ、先週末に連行されて以降は戻ってきていないという。

  英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は呉会長が中国当局から出国を禁じられたと報じたが、同社は2日にそれを否定している。

  保監会は財経に対してコメントを控えた。ブルームバーグは業務時間外に保監会の張忠寧報道官に電話をしたが、応答はなかった。安邦の在米担当者はこの段階で話すことはないとしている。

  安邦は2014年、アジアや欧米で不動産や金融サービス会社を次々と手中に収めて世界の耳目を集めた。買収時のプレミアムを大きく乗せた案件もしばしば見られた。同年10月にはウォルドーフ・アストリアを19億5000万ドル(現在の為替レートで約2140億円)で買収することで合意。これは米国のホテル1軒の買収額として史上最高額。安邦は客室の大半を高級コンドミニアムに改装するため、同ホテルを一時閉鎖している。

原題:Anbang Says Chairman Can’t Perform Job for Personal Reasons (2)(抜粋)

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