市場関係者の間で米国株暴落の予兆チャートとして知られる「ヒンデンブルグ・オーメン」が2年ぶりに点灯、史上最高値圏にある米国株の先行きに一抹の不安が生じた。海外市場に対する出遅れ、割安感をてこに日経平均株価が2万円まで駆け上がった日本株市場でも一部で警戒感が浮上している。

  ヒンデンブルグ・オーメンは、1937年5月に米国で起きたドイツの飛行船「ヒンデンブルク」号の爆発事故に由来する。この事故が同年7月の米国株暴落の予兆だったとする理論で、1995年に米数学者のジム・マイエッカ氏が考案。52週高値・安値更新の銘柄数の関係、始値と高値の差の移動平均から短期騰勢を計るマクレラン・オシレーターなどから判断し、一度サインが点灯すると約41%の確率でパニック売りが発生、有効期間は40日程度とされる。ブルームバーグ・データによると、同サインは今回5月末に点灯、市場関係者の間で話題視され始めた。

ニューヨーク証券取引所
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Photographer: Michael Nagle/Bloomberg

  米国株の凶兆が前回示されたのは2015年6月。その2カ月後、ダウ工業株30種平均は中国経済への不安から1000ドルを超す急落劇を演じた。14年9月のケースは国際通貨基金(IMF)の世界経済見通しの引き下げなどを材料に10月にかけ下落基調を強め、13年4月の点灯時は当時のバーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長が量的緩和策の縮小を示唆、5ー6月に株価が急落する「バーナンキ・ショック」につながった。

  楽天証券経済研究所の土信田雅之シニアマーケットアナリストは、「『ヒンデンブルグ・オーメン』が意識されていること自体が問題」と指摘。凶兆と米国株急落の因果関係は明確でない部分も多いが、実際に米国株が下げ始めると、「凶兆イコール米国株急落の怖さがあるため、われ先にとポジションを整理する動きが相次ぎ、下げが増幅されてしまう可能性がある」と言う。

  また、日本株について「日経平均の次のめどはPER15倍の2万1000円との見方が大勢だが、2万円以上を買い上がる動きがみられず、米国株の高値警戒感は相当強い」との認識を示した。ニューエコノミーの代表で、米国株の現在の上昇を引っ張るフェイスブックやアップル、アマゾン・ドット・コム、ネットフリックス、アルファベット傘下のグーグルなど「『FANG』銘柄の一部が下げ始めた時こそ、強気トレンドの転換点になり得る」と、土信田氏は警戒している。

  9日の米国株は、ナスダック総合指数が1.8%安、半導体関連株の指標であるフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が4.2%安となるなどテクノロジー関連銘柄が大きく下落。一部調査会社の下落予想リポートをきっかけに、画像処理半導体のエヌビディアが売られたほか、ゴールドマン・サックス・グループが「FANG」銘柄の動向に警鐘を鳴らしたことなどが影響した。週明け12日の日本株は、米テクノロジー株安の流れが波及し、日経平均は一時175円安まで下げた。

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