日経平均株価が2万円の大台を回復するなど、上昇ムード漂う日本株市場を引っ張るのは高値更新のチャートを描く4銘柄だ。パフォーマンスは米国株高の主役である「FANG」をもしのぎ、頭文字と一段の上昇期待の強さから、市場でそれらは「SUNRISE」と呼ばれている。

  東証1部市場の時価総額上位で、売買代金上位の常連でもあるソフトバンクグループは直近で2000年5月以来、任天堂は09年1月以来、リクルートホールディングスは14年10月の上場来、ソニーは08年8月以来の高値を先月から今月にかけて更新した。4社の1年間のパフォーマンスは、ソフバンクが55%高、任天堂が2.1倍、リクルトH59%高、ソニー34%高と、TOPIXの同期間の上昇率19%をしのぐ。

  日本コムジェストのポートフォリオ・アドバイザー、リチャード・ケイ氏は4社を「業績低迷などで株価はこれまで伸び悩み、海外事業のポテンシャルが過小評価されていた銘柄」と分析。4社ともに国内外で知名度は高く、そろって高値を更新している原動力は業績回復と海外事業のポテンシャルだとみている。

  最高益更新を続ける米国株は、昨年11月以降のいわゆる「トランプラリー」で買われた重厚長大産業である「オールドエコノミー」銘柄の上昇が一服した後、テクノロジー関連など一部の好業績銘柄に投資資金が集中する「ニューエコノミー相場」に転換している。代表格のフェイスブックアマゾン・ドット・コムネットフリックスアルファベットが運営するグーグルは、その頭文字から「FANG」と呼ばれ、1年間の上昇率は平均44%だ。

  市場関係者は日本株で勢いのある4銘柄について、ソフバンクの「S」、任天堂の「N」、リクルトHの「R」、ソニーの「S」からSUNRISE(SNRS)と呼び、平均上昇率は66%と米FANG銘柄を上回る。コムジェストのケイ氏はSUNRISEの株価好調について、日本株市場でも「最終投資家はバリュー投資志向から、個別で好業績銘柄を選んでいくというスタンスに変わってきた」点を挙げた。

  ソフバンクにはアリババ・グループ・ホールディングやエヌビディアなど投資先企業の株価上昇や懸念されていた米スプリントの業績底打ち、出資する「ビジョンファンド」の貢献期待が出ており、減益続きだった任天堂は新型ゲーム機「スイッチ」の国内外での好調ぶりが見直し機運に拍車をかけている。リクルトHは買収した米Indeedの業績寄与への期待が根強い。

  ソニーについては、グローバルでのゲームや半導体事業などの貢献に加え、民生用エレクトロニクスの立て直しが進展。香港のヘッジファンド、オアシス・マネジメントの最高投資責任者であるセス・フィッシャー氏は7日の投資家向けカンファレンスで、ソニーはFANG株に似たような銘柄として挙げることができ、バリュエーションも割安に放置されていると指摘した。

  コムジェストが運用する世界株式ファンドの日本株ウエートは36%ほど。ケイ氏によると、通常は2ー3割というレンジだが、ことしに入りウエートを増やしてきた。SUNRISE銘柄の見通しについて同氏は、ソフバンクと任天堂はなお強気とみる半面、リクルトHは今後の業績動向を注視したいと言う。ソニーに関しては、増益ペースの持続性にやや疑問を持っている。

  メリルリンチ日本証券は9日、ソフバンクの投資判断「買い」を継続し、目標株価を9950円から1万1800円に修正。ジェフリーズ証券では同日、ソニーの判断「買い」を確認し、目標株価を5150円から5417円へ上げた。

  一方、9日の米国株市場ではフェイスブックやネットフリックスなどが下落基調を強めた。三井住友アセットマネジメントの金本直樹シニアファンドマネージャーは、「『FANG』など買われ過ぎ銘柄と売られ過ぎ銘柄とのギャップが開き過ぎ、その調整が入った」と分析。ただし、週明け12日の日本株市場ではグロース売り・バリュー買いの動きが午後に入りマイルドになったと指摘し、「マーケットは物色のトレンドがこれまでと変わるとはみておらず、『FANG』の下げは買われ過ぎの一時的な修正とみている表れ」とも話している。

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