米連邦捜査局(FBI)長官を解任されたジェームズ・コミー氏による8日の議会証言で、2016年米大統領選へのロシアの干渉疑惑を巡る連邦当局の捜査の一部をトランプ大統領が抑え込もうとしたかどうかが焦点となる中、コミー氏とトランプ氏は2人の会談に関する説明で相手方がうそをついていると非難し合っている。

  コミー氏は2時間半以上に及んだ8日の上院情報特別委員会での証言で、自身の解任を巡るトランプ氏の説明を「全くのうそだ」と言明。コミー氏は大統領との会話の内容を詳細にメモに残したのは、5月9日に自身を解任したトランプ氏が2人の会合について誤った描写をすることを恐れたためだと説明した。

  これに対し、トランプ氏の個人的弁護士を務めるマーク・カソウィッツ氏は数時間後に声明で反論。トランプ氏から忠誠を要求されたり、フリン前大統領補佐官(国家安全保障担当)の捜査から手を引くよう指示されたりしたとするコミー氏の主張に異議を唱えた。その一方で、コミー氏の証言でトランプ氏の潔白が証明されたとの見解も示し、「大統領は完全に正しさが証明されたと感じている」と述べた。

  公聴会に出席した上院議員らは、コミー氏にトランプ氏との面談内容の詳細を求め、特にトランプ氏が司法妨害を狙ったとコミー氏が受け止めたかどうかについて証言を迫った。これに対しコミー氏は、直接の回答を避け、現在ロシア疑惑捜査を主導しているモラー特別検察官に委ねる考えを示した。

  コミー氏によると、2月のホワイトハウスでの会談はフリン氏解任の翌日に行われ、トランプ氏からフリン氏への捜査の手を緩めるよう迫られた。トランプ氏は「この件を放っておいてほしい。フリン氏を放っておいてもらいたい」と述べ、「彼はいいやつだ。この件は放っておけるだろう」と語ったという。

  このトランプ氏の発言についてコミー氏は、トランプ氏のフリン氏に関する要請を「指示」だと解釈したと述べた。

  コミー氏はまた、トランプ大統領の就任式の2週間前となる1月6日に行われた大統領との初めての会合後、直ちに記録を取り始めたことを明らかにした。会話内容を記録に残したのは「大統領の気質」も理由の一つだと述べ、「われわれの会合の性質についてトランプ氏がうそをつくかもしれないと真剣に懸念したため、私は記録に残すことが重要だと考えた」と説明した。

  ホワイトハウスのサンダース報道官は記者団に対し、「大統領はうそつきではない」と述べた。

  コミ-氏はこのほか、トランプ大統領との会話の録音テープがないことをコミー氏は望むだろうとの大統領のツイートに言及し、「テープが存在することを願う」と述べた。さらに、トランプ大統領のツイートがきっかけとなり、大統領とのやりとりを記録したメモの一部を流出させるよう知り合いに頼んだと発言。そうすれば特別検察官の設置につながると考えたからだと説明した。

  コミー氏はまた、トランプ氏による解任の決定については困惑させられたと証言。特にトランプ氏のNBCとのインタビューでの発言には怒りを覚えたと述べた。トランプ氏は同インタビューで、コミー氏の解任はロシア関連の捜査と「FBIが混乱に陥っていた」ことが理由だと述べていた。

  コミー氏は「トランプ大統領は私に対し、素晴らしい仕事をしており、長官職にとどまってほしいと何度も言っていた」と説明。だが解任された後、「政権は私とFBIの名誉を傷付けることを選択した」と述べた。

原題:Comey, Trump Accuse Each Other of Lying in Wake of Hearing (1)(抜粋)

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