債券相場は上昇。前日に相場が急落した反動に加えて、日本銀行が実施した国債買い入れオペで中期ゾーンの需給の引き締まりが示されたことを受けて買いが優勢だった。

  9日の長期国債先物市場で中心限月6月物は、前日比8銭高の150円55銭で開始。午前の日銀買いオペ通知後に150円50銭まで伸び悩んだが、午後に入ると水準を切り上げ、150円69銭まで上昇。結局は13銭高の150円60銭で引けた。

  岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、「きのうの相場は動揺して波乱の展開だったが、きょうは朝から買い戻し。下値では押し目買いが入っているということ。日銀オペの結果もしっかりした内容だ」と話した。ただ、「きのう現物をたくさん売った人がいたとも思えず、業者主導の相場ではないか」と述べた。

  現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の347回債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値より0.5ベーシスポイント(bp)低い0.06%で開始。その後は0.05%まで低下した。前日は日銀の出口戦略を巡る議論について、時期尚早から説明重視に姿勢を改め、市場との対話を重視する方向に修正しつつある、との報道をきっかけに売りが優勢となり、一時0.075%と3月17日以来の高水準を付けた。

  新発2年物の377回債利回りは0.5bp低いマイナス0.11%、新発5年物の132回債利回りは1bp低いマイナス0.085%まで低下。前日はマイナス0.09%、マイナス0.075%までそれぞれ上昇した。

  岡三証の鈴木氏は、「中期はほぼ適正水準まで利回りが上昇したので5年入札も順調に消化され、ここからどんどん上昇することはない。日銀にしてみれば今までの水準でいてくれた方が長期ゾーンをコントロールしやすかっただろうが、慌ててオペを増額することもなかった」と述べた。

  超長期債も堅調。新発20年物の160回債利回りは2bp低い0.56%、新発30年物の55回債利回りは1.5bp低い0.825%まで買われた。

日銀国債買い入れ

  日銀が実施した長期国債買い入れオペでは、残存期間「1ー3年」が2800億円、「3-5年」が3000億円、「10-25年」が2000億円、「25年超」が1000億円と、全て前回と同額となった。オペ結果では、中期ゾーンの応札倍率が前回から低下し、懸念されていた需給の改善が示された。

日銀国債買い入れオペ結果はこちらをご覧下さい。

  野村証券の中島武信クオンツ・アナリストは、「2年、5年金利は指し値オペ実施の水準に近づいていたので、金利を見ると1ー3年、3ー5年オペが増額されてもおかしくはなかった。しかし、今月は四半期末なので、個別銘柄の需給がタイトになりやすい。これを避けるために、日銀はオペ増額を見送った可能性が高いとみている」と指摘した。

英総選挙

  8日の英総選挙は、開票途中の段階でBBCが示した下院(定数650)議席数の最新予測では、与党・保守党は316と、現有議席の330から減る見通し。全体の過半数326を下回る水準。英国の欧州連合(EU)離脱に向けた協議入りを前に、メイ首相率いる保守党が政権を維持できるか不透明となった。ポンドは対ドルで一時、4月以来の安値となった。  

  三井住友アセットマネジメントの深代潤グローバル戦略運用グループヘッドは、「英総選挙で与党・保守党が過半数割れすれば、メイ首相には打撃となるので、市場には不透明感が漂っているが、世界的な大混乱に至る話ではない」と指摘。「円債市場は相変わらず、国債買い入れオペなど国内材料で動いている。日銀が何かすぐに手を打たなくてはならない状況ではない」と述べた。 

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