米国の政界と法曹界では、コミー前連邦捜査局(FBI)長官が8日に行う議会証言を巡り、連邦犯罪である「司法妨害」の定義と突き合わせながら綿密なチェックが行われることになりそうだ。大統領罷免につながりかねない「重大な罪または軽罪」の中には起訴の引き金にはならないものもあるが、司法妨害が疑われたことで、ニクソン大統領は辞任に追い込まれ、クリントン大統領は弾劾訴追された。2016年の米大統領選へのロシア関与疑惑について、進行中の捜査をトランプ大統領が遅らせたり、ストップさせたり、影響を及ぼうそうとしたりして司法を妨害したかどうか活発な議論が繰り広げられている。

1.司法妨害とは

  最広義では、「司法の適正な運営に影響を与えるか、それを遅らせる、または妨害する」ことを試みるのが司法妨害だ。米国の刑法は司法妨害について20近くのカテゴリーを明記しているが、大統領がFBI長官に圧力をかけたり、解任したりしたケースを直接扱う部分はない。ただ、条項の一部はトランプ、コミー両氏が置かれた状況に適用されると解釈できるかもしれない。

2.トランプ氏の言動は司法妨害に該当するか

  ホワイトハウスと外部の法律家の一部は該当しないと主張する。しかし、大統領は少なくとも刑事捜査を妨害しようとしたとの指摘もある。具体的には、フリン前大統領補佐官を大目に見るようコミー氏に頼んだとされることや、コーツ国家情報長官とロジャーズ国家安全保障局(NSA)長官に対し、トランプ陣営とロシアによる共謀の証拠の存在を公に否定するよう求めたとされる点、フリン氏への寛大な扱いをコミー氏に要請したが聞き入れられず、その後、コミー氏を解任したことなどが挙げられている。またトランプ氏の批判者からは、コミー氏解任の際に大統領がテレビインタビューで、ロシア疑惑捜査はいかにでっちあげであるかと語ったことや、コミー氏を解任したことで「大きな圧力」から解放されたとロシア大使に話したとされる事例が、同氏による妨害を最も鮮明に裏付けているとの指摘がある。

3.トランプ氏起訴の可能性は

  そうした可能性は極めて小さい。現職の大統領を起訴することが可能かどうかさえ不明だ。司法省は、大統領の刑事訴追は「憲法で与えられた大統領による職務遂行の能力を容認できないほど妨害することになる」との見解を示している。

4.司法妨害に関心が集まっている理由は

  司法妨害を含め、大統領による不正行為疑惑は議会での弾劾手続きにつながる可能性があるためだ。

5.司法妨害は弾劾の構成要件となるか

  十分な数の議員がそのように判断すれば、事実上、何でも弾劾の構成要件となり得る。米国憲法は「反逆罪、収賄罪その他の重大な罪または軽罪」について、大統領が弾劾の訴追を受け、有罪の判決を受けたときは職を解かれると定めている。「重要な罪または軽罪」は必ずしも犯罪行為を意味しないが、そのように見なされるケースが多い。

原題:Why ‘Obstruction of Justice’ Is Echoing in D.C.: QuickTake Q&A(抜粋)

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