政府は9日の臨時閣議で「経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)」を決定する。財政健全化目標として債務残高対国内総生産(GDP)比の位置付けを微修正し、2020年度の基礎的財政収支(PB)黒字化目標と併記する。専門家からはPB目標先送りの布石との見方も出ている。

  2日公表の素案では、「PBを20年度までに黒字化し、同時に債務残高対GDP比の安定的な引き下げを目指す」と明記された。昨年の骨太方針では、注釈として、PB黒字化と「その後の」債務残高対GDP比の引き下げを目指すと書かれていた。

  野村証券の高橋泰洋エコノミストは7日の取材に、政府は20年度PB黒字化目標の延期に備えて、日本銀行の金融緩和による低金利環境で「より達成しやすい目標」である債務残高対GDP比を「格上げした」と分析。PB目標の先送り幅は「5年か10年のスパン」と予測した。

  内閣府の中長期の経済財政に関する試算では、名目GDP成長率を3%以上と仮定した「経済再生ケース」でも、PBは20年度に8.3兆円の赤字が残る見通し。黒字化を達成するのは25年度になる。一方、債務残高対GDP比は、17年度から25年度にかけて低下を続けることから財政出動の余地を与える可能性がある。

  麻生太郎財務相は6日の会見で、財政健全化が揺らいでいるのではないかとの質問に対し、「後退しているわけではない」と強調。債務残高対GDP比の安定的引き下げの重要性は「当たり前の話」とした上で、PB黒字化よりも「長期的には難しい」と語った。

  自民党の試算によると、債務残高対GDP比は27年度までは低下を続けるが、28年度からは増加に転じる見通し。経済財政諮問会議は、来年の骨太方針で財政目標について議論を深める。

絶対的に必要

  安倍晋三首相は3月の参院予算委員会で、PB黒字化は「財政健全化の通過点としては絶対的に必要だ」と答弁した。一方、「私はプライマリーバランス至上主義ではない」と明言。累積債務が変わらない場合もGDPが増えれば国民1人当たりの債務は減るとし、「そこが一番大切な点」とも述べている。

  政府は20年度のPB黒字化に向けた財政健全化計画で18年度にPB赤字を対GDP比1%程度に縮減する中間目標を設定し、16年度からの3年間で社会保障費を中心に一般歳出の増加幅を計1.6兆円に抑制する「目安」を示した。素案では、来年度予算編成でも目安に基づいて社会保障費の歳出の伸びを5000億円、非社会保障費300億円をそれぞれ抑制する方針を明確にした。

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