米航空宇宙局(NASA)は来年、太陽外層大気に向けて探査機を打ち上げる。「宇宙の気象」だけでなく、人工衛星や電力系統、通信に影響をもたらすリスクに関する人類の理解を劇的に向上させると期待されている。

パーカー・ソーラー・プルーブが太陽に接近した時の想像図
パーカー・ソーラー・プルーブが太陽に接近した時の想像図
Source: Johns Hopkins University Applied Physics Laboratory

  このミッションの指導者らは5月31日にシカゴ大学に集まり、太陽風の存在について1958年に初めて仮説を出したユージン・パーカー同大名誉教授にちなんで探査機を「パーカー・ソーラー・プルーブ」に改名した。パーカー氏の仮説は当初、同僚に冷笑されていたが、数年後に探査機「マリナー2号」によって確認されている。

ユージン・パーカー氏
ユージン・パーカー氏
Source: The University of Chicago

  その後、数十年にわたる研究を経ても、研究者は太陽嵐を正確には予測・追跡することができないままだ。太陽嵐は低確率ながら多大なダメージが技術に及ぶため、正確な予測・追跡が必要とされる。今回打ち上げる探査機は、太陽物理学に関する2つの重要な疑問について調べる計画で、太陽風発生の仕組みと、太陽の表面がカ氏1万度(セ氏約5500度)と、100万度以上のコロナに比べてかなり低い理由を探る。探査機の組み立てと試験を行っているジョンズ・ホプキンス大学応用物理研究所のニコラ・フォックス教授は、「水が坂を上るようなものだ。起こるはずがない」と話す。

  NASAが存命の科学者にちなんだ名前を探査機に付けたのは今回が初めてで、6月10日に90歳の誕生日を迎えるパーカー名誉教授には悪くないプレゼントだ。同名誉教授はシカゴ大でのスピーチを「ソーラー・プルーブ万歳!」で締めくくった。

  15億ドル(約1655億円)のミッションでパーカー・ソーラー・プルーブは、太陽に7回接近する予定。最も近づくのは2025年半ばの見通しで、太陽の表面からの距離は400万マイル(約644万キロメートル)以内と、1974年に打ち上げられた探査機「ヘリオス」よりも7倍近い。最高速度は秒速125マイルと、史上最速の宇宙探査機となる。

  探査機は4つの機器で太陽の地場と太陽風の速度、それを構成する粒子の密度と温度を測定する。これらの機器は4.5インチの炭素複合素材シールドを使って2500度の熱から保護される。

米海洋大気局(NOAA)宇宙天気予報センター
米海洋大気局(NOAA)宇宙天気予報センター
Photographer: Joe Amon/The Denver Post via Getty Images

  フォックス教授は「ソーラー・プルーブは最も熱くて速いミッションになる。太陽の下で最もクールで熱いミッションと私は呼びたい」と語った。

原題:Perilous NASA Flight to the Sun Will Help Solar Storm Prediction (抜粋)

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