出光興産の大株主である創業家は6月29日に予定されている株主総会で、月岡隆社長ら経営陣の選任に反対する方針を明らかにした。創業家は経営陣の進める昭和シェル石油との経営統合に反対しており、創業家による経営陣への選任反対は2年連続。前年は辛うじて全取締役の選任が可決されたものの、統合計画が行き詰まる中で経営陣が続投できるのかに注目が集まる。

  出光の創業家は5日、月岡隆社長、関大輔副社長、丹生谷晋取締役、本間潔執行役員、東京理科大学大学院イノベーション研究科教授の橘川武郎氏の5人を取締役(橘川氏は社外取締役)に選任する議案に反対すると文書で発表。昭シェルとの経営統合だけでなく、遅れや撤退があった海外事業でも経営判断に誤りがあったとして、他の株主にも取締役選任議案への反対を呼びかける考えを示した。

  創業家は前年の株主総会で、出光と昭シェルの経営統合に反対する意向を表明。同時に全取締役の再任議案に反対し、月岡社長の再任議案は過半数ぎりぎりの52.3%で可決した。出光と昭シェルが目指す合併方式での経営統合は、3分の2以上の株主の賛成を必要とする特別決議事項のため、約34%を握る創業家の同意が不可欠。経営陣は創業家の説得を試みてきたが理解は得られず、4月に予定していた両社の合併は延期となった。

  創業家が配布した資料によると、会社側が経営統合に固執してこれに代わる戦略の策定を怠った結果、会社に損害を与える可能性があると指摘。すでに支払った昭シェル株の一部取得費用を正当化するため、経営陣が無理に統合を進める危険性があり、会社側と利益相反の関係が生じる懸念があると主張した。

経営判断の誤り

  さらにベトナムのニソン製油所建設計画の遅れやカナダでの液化天然ガス(LNG)事業の断念、北海油田での投資失敗などは経営判断の誤りと主張。海外事業での失敗が今期(2018年3月期)の業績見通しに適切に反映されておらず、今後発生することが見込まれる損失の反映を意図的に遅らせているのではないかと疑問を投げかけた。出光側はコメントを控えた。

  今月9日、出光と昭シェルは経営統合に先行して、原油の精製や石油製品の供給などで業務提携を進めると発表。代理人を務める鶴間洋平弁護士は5日の会見で、経営統合を前提としない業務提携は認めるものの、「経営統合を断念したときに損失が発生してしまうアライアンスは控えるべきだ」と述べた。仮に経営統合を前提とした分野で提携効果が発揮されても、「今の段階では創業家の立場は変わらないだろう」と指摘した。

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