世界最大の年金基金、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は国内外での株式運用の委託先に対し、投資先企業への議決権行使を含むスチュワードシップ活動を強化するための原則を初めて策定し、2日午後に公表した。

  GPIFの資料によれば、同法人は運用委託先に日本版スチュワードシップコードの受け入れや内部統治体制の整備と監督、利益相反の防止、ESG(環境、社会、ガバナンス)への考慮などを要求。議決権行使については、長期的な株主利益の最大化に資する行使方針の策定や妥当性を確保する仕組みの構築、判断理由・結果の公表などを求めている。

  スチュワードシップ活動とは、機関投資家が投資先企業との建設的な対話などを通じ、企業の価値向上や持続的成長を促すものだ。金融庁の有識者検討会は今週、投資と対話を通じて企業の持続的な成長を促すため、「責任ある機関投資家」の諸原則とした報告書をまとめた。

  GPIFの運用資産は昨年末に144.8兆円と最高を記録。厚生労働省の年金特別会計が管理する約2.5兆円も含めた積立金全体に占める国内株式の割合は23.76%、外国株式は23.16%だった。ブルームバーグの試算ではそれぞれ約35兆円、約34.1兆円で、合計70兆円近くに上る。

  GPIFは2014年、金融庁の有識者会議が英国の事例を参考に策定した日本版スチュワードシップコードの受け入れを表明。翌年には資金運用でESG(環境、社会、ガバナンス)の視点を反映させる国連の責任投資原則(PRI)に署名した。

  昨年4月には機関投資家のスチュワードシップ活動に関する上場企業向けアンケートの集計結果を公表。7月には中長期的な株式投資の収益拡大を図るため、国内企業や海外の年金基金との定期的な意見交換の場を設けると表明した。10月には市場運用部にスチュワードシップ推進課を設置。今年1月の報告書では、国内株の運用委託先による企業との対話で「実績作りのためと思われる形式的・画一的質問が増えた」といった問題点も指摘した。

  GPIFがスチュワードシップ活動の強化を図るのは、運用規模が大きく広範な資産を持つ上、100年後までを視野に入れた年金財政の一翼を担っているからだ。環境・社会問題等の最小化による市場全体の持続的かつ安定的な成長が不可欠だと認識。運用委託先と投資先企業の建設的な対話を促進し、中長期的な企業価値の向上が日本経済全体の成長を通じてGPIFの収益向上につながると期待している。

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