トランプ米大統領が1日、地球温暖化対策を国際的に取り決めたパリ協定から離脱する方針を表明したことを受け、日本の政財界から非難する声が相次いだ。

  「その程度の国だということだ」。麻生太郎財務相は2日午前の閣議後会見で、米国に対しそう苦言を呈した。財務相は化石燃料を大量に消費する米国経済に及ぼす影響に加え、シェールガスやシェールオイルを他国にも輸出していることから、「『ちょっと待て』という話だと思う」と米国の立場を解説した。

  山本公一環境相は同日の閣議後会見で、「失望にプラス、怒りを覚えている」との見解を示した。環境相は脱炭素に向けた世界的な潮流があるとし、「トランプ氏個人はどうか知らないが、米国の州や企業はすでにそういう方向で動いている」と話した。さらにトランプ氏の判断は「やっとここまで来たという人類の英知に背を向けたこと」と述べた。

  2020年以降の枠組みを定めたパリ協定は15年12月に採択され、約200の国・地域が参加している。気温上昇を産業革命前と比べて2度未満に抑えることを目標に、二酸化炭素など温室効果ガスの排出削減を目指している。排出量上位5カ国中で1人当たりの排出量が3位の日本もパリ協定に批准しており、この枠組みの先行きに大きな影響を与える国の一角を占めている。

  外務省も同日午前にパリ協定脱退表明は残念との声明を発表。気候変動問題は国際社会全体が取り組むべき課題だとし、先進国がリーダーシップを発揮して同協定を着実に実施することが重要との考えを示した。協定の枠組みの中での米国との協力を考えていたとし、今後も気候変動問題に対処するため同国と協力する方法を探求するとした。

経済界からも

  経済界からも厳しい指摘が相次いだ。経団連の榊原定征会長は同日、「パリ協定の前提を崩すものであり、誠に残念」としたコメントを発表。その上で、「米国の温暖化対策は、地球規模での温室効果ガス削減を進める上で極めて重要である。米国には引き続き、国際社会における責任を果たしていただきたい」と注文を付けた。

  経済同友会の小林喜光代表幹事も「世界2位の温室効果ガスの排出国の離脱表明が現実になったことは大変残念」と述べるとともに、「日本は、欧州、中国、インドなどとともに、パリ協定採択時に共有した地球温暖化という危機感を再確認し、協定の枠組みの順守に向けて結束を固めていくべきだ」との考えを表明した。

  電気自動車メーカーのテスラを率いるイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)もトランプ大統領の離脱表明を受けて、同大統領に助言する二つの委員会のメンバーを辞任すると発表している。

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