トランプ米大統領は1日、地球温暖化対策の国際的な取り決めであるパリ協定から米国が離脱し、米労働者に有利な新たな枠組みを目指して再交渉する意向だと発表した。

  トランプ大統領は「離脱することにしたが、新たな交渉を始め、まとめることができるかどうか模索する。まとめられるなら素晴らしい。できなくても、それはそれで構わない」と述べた。大統領はパリ協定の条項が米国を犠牲にして中国経済を有利にすると指摘。パリ協定は「米国の富の大規模な再配分」であり「米経済にマイナスだ」と語った。

  大統領がホワイトハウスのローズガーデンで閣僚や支持者、保守派活動家らを前に行った協定離脱表明は、気候変動問題への国際的対策を危険にさらす動きだと警告してきた企業経営者や世界の首脳、さらにはローマ法王フランシスコからの要望をはねつけるものだ。

  フランスとドイツ、イタリアの首脳はトランプ大統領の離脱表明を即座に非難。パリ協定は「元に戻せない」ものであり、「再交渉もできない」と共同声明で主張した。日本政府は米国の離脱表明について「残念」な動きだとの見解を示した。

  トランプ大統領は離脱手続きに着手するが、パリ協定の規定によると、米国が正式に離脱できるのは早くても2020年11月4日で、次回大統領選の翌日に当たる。その間に、方針転換の余地が生じるとともに、次の大統領選挙の争点とされる可能性もある。

  トランプ氏は「パリ協定は米経済を台無しにし、米労働者に痛手を与え、米国の主権を弱め、容認できない法的リスクを突き付け、米国を世界に対して永続的に不利な立場に置くものだ」と指摘。「中国は数百カ所の石炭プラントの建設が許される。米国は石炭プラントを新設できないのに、中国とインドはできる」と批判し、「私はピッツバーグの市民を代表するために選出された。パリではない」と付け加えた。

  トランプ氏は大統領選中、気候変動を「でっち上げ」と呼び、15年に採択されて約200カ国・地域が参加するパリ協定について、米国の利益に「一方的に」反するものだと批判して離脱を選挙公約としていた。ホワイトハウスの法律顧問や一部共和党議員も、同協定にとどまれば、発電所の温暖化ガス排出量や燃料効率に関する規制撤廃を目指すトランプ氏の取り組みが損なわれかねないと指摘していた。

  パリ協定では各国がそれぞれ排出量目標を調整することが認められているが、協定全体を再交渉する仕組みは確立されていない。各国の目標は多岐にわたり、米国は25年までに排出量を05年比で26%以上削減することを目指す一方、中国は30年ごろまでに排出量の削減を始めるとしている。

  パリ協定の締結はオバマ前大統領にとって在任中の気候変動対策の代表的成果だった。トランプ氏の離脱表明を受けてオバマ氏は声明で、この協定が「企業や科学者、エンジニアによる低炭素のハイテク投資や技術革新を前例のない規模で解き放つ突破口になった」と指摘。「米国のリーダーシップが不在でも、米国の州や市、企業が先導役としてさらに努力すると確信している」と述べた。ピッツバーグ市のペドゥート市長もツイッターで、同市が「市民や市の経済と将来のためにパリ協定のガイドラインを守っていく」と表明した。

原題:Trump to Exit Climate Pact as Allies Deride Call to Rework Deal抜粋)

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