東芝のメモリー事業売却を巡り、合弁相手の米ウエスタンデジタル(WD)のスティーブ・ミリガン最高経営責任者(CEO)が来週来日し、東芝に新たな買収提案を行う見通しであることが1日、分かった。WDは同事業の売却に異議を申し立てるなど、入札手続きの障害となっている。

  事情に詳しい関係者が明らかにした。詳細は不明だが、これまでの提案が東芝側に受け入れられなかったことを踏まえた改定案になるという。WDは基本的に東芝メモリの経営権取得を主張しているが、当初の持ち分については複数の選択肢を念頭に、東芝側に譲歩する構えだ。

  提案には、工場や技術の海外移転はしない考えを東芝側に理解してもらうため、計画中の設備投資に加え、5年後の完成をめどに四日市に工場を新設する構想などを盛り込む方針だ。産業革新機構などのファンドや政府系金融との連携は可能だが、競合先メーカーなど「第三者」の参加には反対していくという。

  4月に分社した東芝メモリの売却では5月19日に2次入札が締め切られ、米投資ファンドのKKR、米半導体のブロードコムが有力候補に浮上。他に台湾の鴻海精密工業、米ファンドのベインキャピタルの4陣営が応札し、官民ファンドの革新機構などがKKRと日米連合を組もうとする動きもある。

  別の関係者によると、入札とは別に東芝と接触していたWDは日米連合への合流を模索する一方、単独で1兆5000億円の買収案も示したが、売却先候補の中で最も低い。東芝幹部は先月26日、WDは有力候補ではないとの認識を示していた。WDと東芝は三重県四日市でメモリー事業を共同運営している。

  東芝とWDの間では、WDの同意なく合弁事業の持ち分を東芝メモリに移管することは契約に違反するとして国際仲裁裁判所に仲裁を申し立てていたWDに対し、東芝が5月31日、メモリー事業の関連資産を東芝本体に戻すと通告。これによりWDの主張の根拠はなくなったと反論するなど対立が先鋭化していた。

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